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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
クルナ → 復讐準備
165/314

タイプγ戦1

「治療目標発見。治療を開始します」


 バグカブトがロクロムィス内に侵入した直後だった。

 唐突に上空から飛来したメディカル用ロボがヘスティに組みついた。

 驚くヘスティに気にする事無く彼女を手枷と足枷で自身に固定すると、そのロボは飛び上がる。


「マズいっ。ヘスティが!」


「妨害者を発見、離脱しながら治療を行います」


「お任せください! 毒さえ抜ければ空は私の……」


「ダメよバグリベルレ。この周辺は毒が無くなってるけどエスカンダリオの能力範囲外に出たら毒だらけなのよっ!」


 飛び出そうとしたバグリベルレをバグパピヨンが慌てて止めた。

 予想していなかったらしく驚くバグパピヨン。


「ハルモネイア。ヘスティを頼む!」


 横でそれを聞いていた王利は咄嗟にハルモネイアに頼みこんだ。

 タイプαと戦った後だけにかなり無理をさせるが、今ヘスティを救えるのは彼女しかいない。

 出来うるならほたるんにもフォローに向ってほしかったが、彼女は腹部損傷の大ダメージ。今すぐにでもメンテナンスをすべき所だ。


「あのお姉ちゃんを、助ければいいのね」


 ハルモネイアが王利の言葉を受けて飛び立つ瞬間、クルナが上空を飛ぶタイプγを見上げた。


「私も行く」


 と、よたよたと歩いてハルモネイアに後ろから抱きついた。


「行くのはいいでるが、そこ、バーニアでる」


 困った様なハルモネイアがクルナを抱きかかえると、タイプγを追って飛び立った。


「ん? なんだ? 何かあったのか?」


 丁度ロクロムィスから現れたバグカブトが彼女たちが居なくなったことに気付くが、来るのが遅かった。


「標的を確認。妨害と排除を開始します」


 ゼルピュクネーが9機、ようやく落ち着いたと思っていた戦場に急襲を仕掛ける。

 まずは邪魔をする蠅たちを火炎放射で焼き尽くしながら大地に舞い降りると、王利たちに剣を向けて来た。


「どうやら、ついに虎の子を切ってきたらしいな。W・B。もうすぐだ、ここが踏ん張りどころだぞ」


「みたいですね首領。全力でやります。まぁ、俺に攻撃力は期待してほしくないですが」


 普通の雑魚ロボはもう遥か彼方まで破壊されている。

 その殆どはベルゼビュート・ハンマーシャークにより倒された。

 今もかなりの速度で機械たちが破壊されている。


 そんな中王利たちに敵対できるのは、今まで温存していた兵器くらいだろう。

 つまり、それ程数はいないはず。

 しかもである。

 一度見たコックル・ホッパーの取り巻き10人のうちの9人が現れた。つまりはもう残る駒が殆どないということを暗に告げていた。


 残るはこいつらと同じ型の兵器が一体とコックル・ホッパー。最後まで残すべき護衛を投入して来たのだから、もう奥の手はないと見て良さそうだ。

 つまり。もう手勢が残り少ない以上、この9体さえ何とかすればこの世界での乱戦は一応の終息が見えたと言っても良いだろう。


 さすがにクルナの真言といえども広範囲に広がった毒ガスを全て無毒化させることはできなかったようで、エスカンダリオが風を操っていなければならない。

 つまり、彼が魔法を届けられる範囲が王利たちの戦場であり、戦闘に参戦できるのは王利、バグレンジャーの四人、エルティア、マンティス・サンダーバードそして首領だけである。


 一人、足りなかった。ほたるんが動ければいいのだが、さすがにダメージが大き過ぎ、今はドクター花菱により簡易のメンテナンスを行っているところだ。

 となると、一人、誰かが二人を相手に戦わなければならなくなる。

 蠅たちが相手してくれればいいのだが、さすがにこれ以上撃破されれば少々戦力に心もとなくなってくる。

 既に数千単位の蠅が焼き殺されているのだ。


「全員、目標は決めたな。今回は我が直々に二人相手にしてやろう」


「抜かせ。貴様にばかりやらせるか。すぐに終わらせるから手間取っているがいい。全て終わらせたら彼女たちを必ず解放しろ。そうでなければお前を殺す」


「バグカブト……果たして貴様に我が殺す事ができるかね。まぁ、期待はせずに待っているよ。とはいえ、約束を違える気はないがな」


 悪の首領としてな……と首領は心の中で付け加える。

 ゼルピュクネー02から10までの敵は一人一人距離を開け始める。

 どうやらこちらの会話を聞き取り戦いやすいよう少し離れるようだ。

 群れて戦われるよりも各個撃破する気なのだろう。


 向こうもこちらに一対一で勝てる自信があるらしい。

 首領の言葉通りロクロムィスに二体のゼルピュクネー02、03が対峙して来た事で、彼女もほぅと感心した声を洩らす。


「機械のクセに随分と考えているではないか」


「こちらとしてもお前たちの提案は望むところ。団体戦だとつい決まった動きをしてしまう我々はお前たちに撃破されやすい。おそらくアルゴリズムを読まれているのだろう。ならば個別に動いた方が勝利しやすい」


「ならば二人で戦うお前たちはそのアルゴリズムとやらで我が敵ではなさそうだな」


「そうなるかどうか、自身で試すがいい」


 首領がロクロムィスを地面へと沈ませる。

 二体のゼルピュクネーが戦闘体勢を取り、ついにゼルピュクネー戦が始まろうとしていた。

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