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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
魔王軍 → 襲来
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バグソルジャー暗躍

「うきゃぁっ!?」


 不意に現れた浮遊感に、エルティアは悲鳴を上げた。

 王利は慌ててエルティアを抱き寄せる。


 空中に出現した彼らは重力に引かれて地面に激突する。

 王利が咄嗟に庇ったのでエルティアにダメージ的なモノはなかったが、高所から落下した彼らは地面に埋まっていた。


「無事かエルティア?」


「え? あ、はい?」


 声を掛けられてようやく自分の状況を理解したエルティアは、自分が男性に抱きしめられていることに気づき赤面する。

 慌てて離れようとするが、思うように動けない。


「ちょっと待っててくれ」


 王利はグッと身体に力を入れると、足を踏ん張り立ち上がる。

 地面をさらにへこませて、穴から這い出ると、ようやくエルティアを解放した。


「flexiоn!」


 ついでに変身も解いておく。

 王利の全身が光に包まれ、一瞬後、怪人形態から人間へと戻る。

 危機は去ったはずなのだから変身している意味がないから戻ったのだった。


「あの、ここは……」


「どうやら跳躍前の場所からあんま離れてないみたいだ。よかった」


 周囲を調べ、王利が呟く。

 今、彼らが存在する場所は第四世界。

 つまり、王利たちの住んでいた世界である。

 バグソルジャーによる奇襲からそれ程時間は経っていないようで、赤茶けた夕日が空を照らしている。


 理解不能なエルティアが彼の視線を追ってみると、切り立った崖の様な場所の中央付近に洞穴が見えた。

 今いる場所からはかなり高い場所だ。


「葉奈さんに襲われたのがあの洞窟か……どれくらい時間経ったか分からないが、身を隠した方がいいな」


 「エルティア、こっちだ」と、エルティアと共に移動しかけた王利、その背後で、基地であったはずの場所が突然、大爆発を起こした。

 あまりの不意打ちに逃げるのも忘れて立ち尽くす。

 エルティアも何が起こったのかすら分からずその場を見守っていた。


 しばらく呆然としていた二人は、爆炎が煙に変わりだしたころ、ようやく逃げるように動き出した。

 一刻も早く逃げた方がいい。王利は頭の中で警鐘が鳴った気がした。

 だから最低限周囲を警戒しながらエルティアを連れてその場を後にする。


 二人は気づいていなかった。

 彼らからは遙か遠くに、彼らを見つめる四人の眼があることを。


「怪しい二人だね~。パピヨンを倒した怪人とか?」


「あり得ん話だが……」


 バグソルジャーの四人は、高みから王利たちを見降ろしていた。

 バグパピヨンと合流すべく待機させていた裏側へとやって来たのである。


 しかし、そこにバグパピヨンはおらず、二人の男女が居るだけ。

 すぐに殺害してしまおうと言うバグシャークに対し、バグアントとバグカブトは民間人の可能性もあると、静観を唱えた。

 だから彼らは未だに王利たちを見逃している。


 もしも、王利が変身したままであったなら、即座に攻撃に移っていただろうが、彼らが着いたのは王利が変身を解いた直後だった。

 危険がないだろうからと変身を解いた事で、王利は知らず命拾いしていたのだった。


「どうする? パピヨン待っとく?」


「そうだな……二手に分れよう。何らかの理由で戻ってきてないだけかもしれないしな。リベルレとシャークはここで待っていてくれ。俺とアントで彼らを追ってみる。上手く行けばインセクトワールドを壊滅出来るかもしれん」


「ふざけんなよカブト。俺も行くぞ。奴らを倒せるチャンスかもしれねぇんだったら仲間はずれは無しだぜ」


「いや、でもな……」


「じゃあ、僕が残るよカブト。シャークとリベルレも連れて行きなよ」


「しかし……」


「何、僕なら君たちの居場所がわかるから、パピヨンをしばらく待った後で追い付くよ」


「……わかった。じゃあこちらは任せるぞ」


 カブトの言葉に頷き、アントはもう一度、エルティアの手を引く王利を見る。


「手に入れる手間が省けるし……」


 アントの呟きにリベルレが振り向く。

 しかし、意味が分からず首を捻るしかなかった。

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