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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
首領 → ラナ
159/314

タイプβ戦3

 タイプβが走り出す。

 先程までとは打って変わった愚直な突撃は簡単に避けられる。

 ほたるんは直前まで引き付け、レーザーサーベルで切り裂こう。としたのだが、タイプβは飛び上がったほたるんへと掌を向ける。


 バシュッと音が聞こえたと思った瞬間、タイプβの掌がほたるんの足を掴む。

 かなり離れていたはずと思ったほたるんは、タイプβの腕から掌に伸びたロープ状の何かを見て悟る。

 ワイヤーアーム。

 離れた場所にある物を取り寄せたり、離れた場所へと移動するために装着される腕の装備である。


 マズいと思った瞬間には身体を引き寄せられていた。

 逆の腕をマシンガンに替えたタイプβは引き寄せたほたるんのどてっ腹目掛けてマシンガンを乱射する。

 機械だからこそ痛みはないが、ほたるんの視界に赤いアラームが点灯し始めた。


「うあぁぁぁッ!!」


 このままではいけないと気付いたマンティス・サンダーバードが一気に跳躍して距離を詰め、タイプβの即頭部に蹴りを叩き込む。

 鋼鉄のグリープから繰り出された一撃に、さすがのタイプβも吹き飛ばされた。

 銃撃がほたるんから逸れ宙空にばらまかれる。


 その隙にワイヤーを切り飛ばして難を逃れたほたるんは、自身のダメージを把握する。

 腹部パーツへの損傷が激しい。

 胸ミサイルの発射口は完全に潰されている。

 しかし、腹部外部パーツが破壊されただけで、内部へは届いていない。

 開かなくなった腹部パーツをベキリと剥がす。

 そこには砲口が顔を覗かせていた。


 ほたるんにとって奥の手とも言える粒子砲発射口である。

 どうやらマシンガンによる連撃で故障することなく生き残ったようだ。

 使えない事はないと知り、ほたるんは安堵の息を吐く。


 アラームが鳴りだしたが止まる気配が無い。

 よくよく調べてみると、どうやら腹部開閉装置の異常らしい。

 これはついさっきほたるん自身が破壊して投げ捨てたので戻す事は出来ない。

 仕方なくアラームを強制遮断しておいた。


 玉串のように煌めく髪を手に取り、縄のようにわっかを作って回しだす。

 タイプβ捕獲を目標にして、ほたるんは髪をを投げた。

 地面を滑り、上半身を起こしたタイプβは髪の接近に気付いて地面を転がる様に逃げる。

 そこに待っていたのはマンティス・サンダーバード。

 タイプβの顔向けて、重量のある足を振り落とした。


 金属音が響きタイプβの顔が陥没する。

 しかし、破壊には至らない。

 マシンガンの銃口を向けて来たので慌てて飛び退いた。


 数瞬遅れてタイプβのマシンガンが宙空に掃射される。

 空を飛んでいたバグリベルレとバグパピヨンが流れ弾に当りかけてマンティス・サンダーバードに文句を言っていたが、彼女は聞き流す事にした。


 タイプβが起き上がる。

 すでに綺麗な顔立ちの人型とは遠くかけ離れたスクラップと呼べる存在になっているが、まだまだ現役稼働中だ。

 千切れた右腕をねじり取り、腹部を開き新しい腕パーツに換装する。

 どうやらタイプβの腹部には腕の予備パーツが入っていたようだ。

 それを填めた瞬間、ランス状の光が腕パーツから放出される。


 白兵戦用の腕パーツらしい。

 ほたるんは油断なくレーザーソードを構え、マンティス・サンダーバードは鎌を振り上げ威嚇体勢に移る。

 タイプβの背部からバーニアが噴き上がった。


 急加速したタイプβがマンティス・サンダーバードへと突撃する。

 バサリと背中の羽を広げるマンティス・サンダーバード。タイプβが突貫した瞬間、音もなく真上へと飛び上がる。

 先程までマンティス・サンダーバードが居た場所をレーザーランスが突き進む。


 が、すぐに急停止したタイプβはマンティス・サンダーバード向けてマシンガンを持ちあげた。

 空を飛ぶマンティス・サンダーバードに射線を向け、発射しようとしたその時、レーザーソードによる一撃がタイプβの腕を切り飛ばした。


「迂闊ですっ。お覚悟をっ」


 ほたるんに気付いたタイプβはランスを構える。

 対するほたるんは腹部へとエネルギーチャージを始めていた。

 ソーラーパワーを髪から吸収し、そのエネルギーを腹部へと集中させていく。


 突撃して来たタイプβ向けて、迷うことなく発射した。

 光の奔流を受けながらも中央突破を行おうとするタイプβ。

 その姿は徐々にだがほたるん向けて近づいていく。


 結果、光の奔流が収まった時、腹部を貫かれたほたるんがそこに居た。

 マンティス・サンダーバードが驚きに目を見張る。

 既に原型をとどめないほどに溶解したタイプβが競り勝ったのだ。


 しかし、ほたるんも機械。

 腹部を破壊された程度では稼働を止めたりはしない。

 レーザーソードを巧みに使い、タイプβのランスを腕から切り飛ばす。

 腹にランスを残したまま地面に着地したほたるん。その腹部からエネルギー供給を断たれたランスが消え、掌がポトリと落ちた。


「今です!!」


 一瞬何が? かと思ったがすぐに気付いたマンティス・サンダーバードは両手に雷撃を溜める。


「シザーズカッター!!」


 雷撃の鎌がほたるん向けて放たれる。

 ほたるんは避けることなく雷撃をその身に纏った。

 体中を過電圧が駆け廻る。


 地を蹴るほたるんは、その身体の動きやすさに少し戸惑いつつ、接近したタイプβの胴にレーザーソードを押しあてた。

 タイプβはそれに気付くも、動きが付いていかない。

 逃げようと動き出した瞬間には、真っ二つに切り裂かれていた。


 下半身と泣き別れ、地面に落下する上半身。タイプβはお返しとばかりに目から必殺の一撃を放つ。

 しかし、それすらもブーストされたほたるんは回避して、タイプβの顔面を掴み取り下半身に叩きつけた。

 衝撃で双方がへしゃげる。


 ほたるんが腕を上げると、タイプβの残骸が赤くなり始めた。

 ほたるんは慌てず下がり、玉串の髪を使いがんじがらめにしていく。

 タイプβを繭状に包んだ瞬間だった。内部から膨れ上がる様に繭が膨張する。 

 しかし、ある一定まで膨らむと、空気が抜けるような音がして一気に萎んで行った。


「やったか?」


「はい。最後は自爆したようです」


 タイプβとの戦いに勝利したと知り、マンティス・サンダーバードは思わず息を吐いたのだった。

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