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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
首領 → ラナ
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タイプα戦3

 タイプαの残骸をくぐり抜け、バグカブトの元へとやってきたハルモネイアがVサインを作る。

 どうやら奥の手を使うまでも無くチャージ攻撃で破壊できたようだ。

 安堵感を覚えつつタイプαを見たバグカブトは、ありえない光景に一瞬反応が遅れた。


 目を見開くバグカブトを見てハルモネイアが首を傾げる。

 その背後、一瞬早く気配を感じたハルモネイアが慌てたように横に転がる。

 遅れてハルモネイアに襲い掛かる足の一撃。

 逃げ損ねた足に当るかと思われたその瞬間、バグカブトの角がかち合い足を切り飛ばす。


「野郎、まだ動くのか!?」


「動力、命令系等は完全に破壊したはずでるが?」


 中央に大穴を開けたタイプαは、壊れた二本の足をバグカブト達から遠ざけると、無傷の四本足を向けて来る。残った二本脚を支柱にしてさらなる攻撃をしかけてきた。


「化け物か!?」


「レーザーバリアが稼働していませる。今ならレーザーソードで斬り裂けまる」


 ハルモネイアの言葉にタイプαの足を見れば、なるほど、バリアがいつの間にか消えている。

 おそらくアレはメインの頭部部分に制御装置があったのだろう。

 予想以上の威力を発揮したハルモネイアの一撃で吹き飛んだためバリアの生成が出来なくなったようだ。


「わかった。こちらも……奥の手で完膚無きまでに破壊してやる!」


 バグカブトとハルモネイアは互いに頷き迫りくる足を睨む。

 感情などないはずのタイプαは、まるで怒り狂ったように激しく攻撃を加えて来る。

 しかしレーザーバリアが稼働していないただの足の一撃は、ハルモネイアに切り裂かれ、バグカブトに叩き折られ、残り四本に減ってしまう。


 さすがにこれ以上の崩壊はマズいと気付いたのか、タイプαが少し距離を取る。

 ぐっと、身体をたゆませ、一気に跳躍した。

 ハルモネイアを飛び越え、バグカブト目掛け、残った四本足で串刺しにせんと飛びかかる。


「舐めるなッ」


 迫りくる足の一本を適確に掴み取り、投げ飛ばすバグカブト、足の一つが甲殻の背に突き立つが、甲殻の固さに敗北し、わずかな傷を付けるにとどまった。

 バグカブトはさらに自身の体重を掛け、手にした足を折り曲げ破壊する。


「残り三本、行けハルモネイア!」


「了解でる!」


 大地を跳躍したハルモネイアがレーザーソードで一閃、バグカブトの背を貫こうとしていた足を根元から切断した。

 残り二本。

 これなら勝てる。

 そう思った瞬間だった。


 立ち上がったバグカブト向け、タイプαが片足を上げる。

 バシュッと音がしたと認識した瞬間、バグカブトの腹部に足が飛んできた。

 タイプαが自身の足をミサイルの如く切り離してきたのだ。

 咄嗟に両手で掴んだモノの、腹部に足の先端が突き立つ。


「ぐのぉぉぉっ」


 気合いと共に引き抜く。

 込み上げて来た血が口から洩れた。


「やってくれたなタイプαァッ!!」


 W・Bにより破壊された腕を掲げる。

 義手の引き金を引くと腕が横に折れ曲がり砲塔が顔を出す。


「くたばれクソッタレ野郎がァッ!!」


 義手に設置されたもう一つの引き金を迷わず引いた。

 タイプαに向けられた砲塔から強烈な発砲音が響く。

 余りの衝撃に砲口が跳ね上がり、バグカブトの身体が背後にすっころぶように回転した。


 風を切り裂き巨大な弾丸がタイプαに襲い掛かる。

 既に一本足となったタイプαはそれに気付けても反応できない。

 必死に逃げようとするが、動けないタイプαに無情にも激突した。


 こうなることを理解していたらしいバグカブトは即座に転がり顔を上げる。

 耳を劈く轟音と共にバグカブトを突風が突き抜けた。

 さすがに爆風の威力が高く、バグカブトの身体が浮き上がりそうになるが、気力で抑え込んだ。

 目の前に居たタイプαは最後の一足を跡形も無く吹き飛ばされていた。


「さすがドクター製だな。威力が高い」


「タイプα、今だ稼働中でる。トドメを刺すべきだと宣言しまる」


「これだけ破壊してもまだ稼働しているのか。動力炉はどこなんだ?」


「わかりませる。私より高度な機械構造をしているようでる。この場合は全パーツを破壊する事をおすすめしまる」


「分かった。だがそれをするなら俺よりお前が適任だろう? まかせるぞ」


「了解。バスターランチャーで殲滅しまる」


 託されたハルモネイアが既に大破状態のタイプαへと歩み寄る。

 どうやら中央と足の連結部分だけでも稼働しているタイプαは、まだ何かするつもりらしい。

 それに気付いたハルモネイアは近づくのを止めてバスターランチャーを構える。

 エネルギーチャージを行い、迷うことなく発射した。


 タイプαの表面が赤くなっていく。

 心持ち膨れ始めた瞬間だった。

 ハルモネイアから発射されたバスターランチャーに打ち抜かれ、盛大な爆発を起こす。


 ただ、一撃だけしかハルモネイアは放たなかったのだが、タイプαは最初の爆発から間を置かずに連続で爆発し始めた。

 怪訝に眉を顰めるバグカブトに、ハルモネイアが寄ってくる。


「どうやら自爆しようとしていたみたいでる。危ないところでる」


「なるほど、自爆か……ということは、先程の一撃が起爆剤になったというところだな」


「溜め切る前だったから周囲への被害は最小限でる」


 バグカブトはタイプαの爆散を見届けハルモネイアに手を掲げて見せる。

 首を捻りながら同じようにハルモネイアが手を上げると、バグカブトはハルモネイアとの掌同士を叩いて見せた。

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