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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
首領 → ラナ
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タイプα戦2

 バグカブトとハルモネイアは互いの動きを注視しつつ、タイプαの動きを見据える。

 タイミングを計るハルモネイアにタイプαが足を振り上げる。

 今回はタイミングが合わなかったようで、ハルモネイアがバックステップで避けると、その眼前を鋭い足が振り落ちていく。


「チッ。そっちに行ったか。ハルモネイア、こっちだ。こっちに攻撃を向けさせろ!」


「わかっていまる。少しお待ち下さる」


 右腕のチャージを継続しつつ、左腕をレーザーソードに変えるハルモネイア。

 さらに追撃で襲ってきた足の一本を剣で弾きつつ、その足をバグカブトの方へと向けて行く。

 良し来い。とバグカブトが近づいてくる足に意識を向ける。


 自身の身体ならばレーザーを纏ったタイプαの足であろうとも受け止める事は可能だ。

 多少焼ける感覚はあるが元々甲殻で覆われているので大して痛みは無い。

 自分がバグカブトとして改造されたことに、こういう時には感謝したくなってくるが、基本インセクトワールドに感謝などしたくもないので思うだけに留め、バグカブトは眼前に迫る足を受け止める体勢になった。


「いけない、右!」


 ハルモネイアの言葉に、一瞬早く反応したのは奇跡に近い。

 バックステップで距離を開いたバグカブトの目の前を横薙ぎに通りすぎるタイプαの足。

 八本ある足だ。一つだけに視線を向けていては不意打ちを受ける。

 それに気付いてタイプαを見て見ると、足四本を支柱にして残りの四本を攻撃に使って来ていた。


 左右から襲いかかる足の攻撃をハルモネイアが避けている。

 バグカブトは気付いていなかったが、いつの間にかハルモネイアは三本もの敵の攻撃を避けつつ、一本だけをバグカブトに向わせていたのだ。

 それに気付いた瞬間、バグカブトは自分がまだまだ正義の味方を名乗れる力を持っていないのだと悟った。


「クソッ、こっちだ蜘蛛野郎! テメェの相手は俺だッ!」


 大声でタイプαを怒鳴りつける。

 挑発に反応したのか、タイプαが動き出す。

 ハルモネイアが相手をしていた足の一本、バグカブトに襲って来ていた足と合わせ、計二本の足が振り上げられる。

 さらにレーザー砲がバグカブトに照準を合わせ始めた。


 さすがに、アレで打ち抜かれれば下手を打てば致命傷だ。

 しかし、バグカブトにとっては予想外のことが起き過ぎている。

 本来なら自分が攻撃用の足を止める間にハルモネイアが真下まで辿りつき一撃。

 衝撃でぐらついた瞬間を狙って奥の手を発動させるつもりだったバグカブトだが、足が四本も攻撃に加わってくるのではこの成功率は格段に下がる。


 これではこちらの敗北は必死になるだろう。

 だが、このままでは終われない。

 絶対に道は作る。奴にまずは一泡吹かせてやる。


「ホーンブレイド・タイプレゾナンス」


 バグカブトは己の角に付いた能力を解放する。

 襲い掛かってきた横薙ぎの一撃に角を合わせる。

 超振動によって細かく震え始めた角が足に当った瞬間、相手に振動を伝えて共振を始める。

 その刹那。レーザーを纏ったはずの足がバターのように切り裂かれた。

 機能を失った足の欠片を持ったバグカブトは即座にソレを投げ飛ばす。


 次いで襲いかかった足を受け止めニヤリと笑った。

 投げ飛ばされた足はレーザーを照射すべく銃口をバグカブトに向けたタイプαの銃口へ、寸分違わず突き刺さる。

 遅れて発射されるレーザー。しかしその銃口には自身の足が突き刺さっている。

 結果、発射されているのに前方へと向えないレーザーが射出口で拡散する。


 一瞬後、盛大な爆発を響かせ砲口が爆散した。

 仰け反るタイプαに、好機とばかりに走り寄るハルモネイア。

 残った足で対応しようとするタイプαだが、ハルモネイアの身体が小さく上手く狙えない。


 襲い掛かる足を避け、あるいは受け流し、ハルモネイアがついにタイプαの懐へと潜り込む。

 堪らずタイプαは下方粒子砲を溜め始める。

 しかし、遅い。


 ハルモネイアは即座に右腕を真上に掲げ、迷い一つなくチャージしていたエネルギー全てを吐きだした。

 真下からの渾身の一撃がタイプαを打ち抜いた。

 一瞬遅れタイプαも粒子砲を発動する。

 しかし、既に放たれている一撃に押し返され、タイプαの体内へと押しこまれていた。


 耐えきれなくなったタイプαの身体が膨れるように光を洩らす。

 天へと突き立つように光の柱が駆け昇った。

 刹那、内側に押し込められたエネルギーがタイプαを爆破した。


 内側から破裂するように轟音響かせ盛大な爆発を行うタイプα。

 中央部が打ち抜かれ、足だけとなったタイプαが力尽きたように落下する。

 中心地にいたハルモネイアがそれをくぐり抜け、天へと右腕を突き上げた状態で立っていた。

 少し粒子砲を浴びたのか所々に焦げ目が見えるが、予想以上に上手く行った作戦に、彼女はバグカブトに視線を向けると薄く微笑んだ。

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