表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
首領 → ラナ
151/314

世界を賭けた戦い3

「いや、無理だろ」


 王利は巨大過ぎるタイプδを前にして、ただただ呆然と見上げていた。

 体格差はまさに象と蟻。

 そんな二人の戦いは、開始1秒で王利がタイプδの拳に潰されるという決着で終わりを告げていた。


 否。拳と地面に潰された王利は冷静に考えていた。

 これは死んだ真似した方が楽なんじゃないか? と。

 しかし、すぐに気付く。相手は機械なのでサーモグラフィなどで自分が生きているか死んでいるか判別されるということに。

 機械相手では死に真似は通用しない。


 拳が地面から持ち上げられる。

 仕方なく、王利は適当に移動しながら攻撃を真正面から受け続けることにした。

 自分は繋ぎだ。

 ロクロムィスを操る首領が出て来るまでの繋ぎ要因なのだ。


 ふと気付けば、自分の武器として渡された鎚がへしゃげていた。

 タイプδの一撃に耐えきれなかったようだ。

 使えない武器である。


 王利はタイプδを横目にしつつ、残った二タイプの動向を見る。

 タイプαはバグカブトと、タイプβはマンティス・サンダーバードが対応している。

 他の面々は陸空から攻め寄せる敵の軍勢を撃破中だ。

 出来うるなら、エスカンダリオにタイプδを任せたい。

 風の邪精霊である彼ならばどんな攻撃も無効化してタイプδを倒せるだろうからだ。


 だが、残念なことに、王利たちが離れても他の面々が戦線を維持しているのは無限の遠距離攻撃を持つエスカンダリオの功績が大きい。

 王利と変わった場合、下手すれば戦線を維持できなくなって敗北濃厚になるかもしれない。

 そう言う理由で、エスカンダリオをタイプδにぶつける訳には行かなかった。


 タイプβは女性型だ。

 線の細い、人工皮膚を張り付けたその姿はどう見ても人間の女性である。

 おそらく細部にまでこだわり人間だと思わせる暗殺用に作られた機体だろう。

 そんな彼女と相対しているのは、マンティス・サンダーバード。

 雷撃は敵を勢いづかせるだけになるのだが、果たしてどうする気だ?


 タイプδの更なる一撃で頭上から視界を潰された王利は、何度か視界を塞がれながらもマンティス・サンダーバードたちの状況を見守る。

 タイプδの攻撃力は脅威だが、王利を押し潰す程の威力は無い様だ。

 千日手になりそうだったので王利は彼に攻撃されるまま身を任せ、文字通りの時間稼ぎにいそしむことにした。その間、暇なので他の面々の見学に徹する。


 かなりの速度で移動するタイプβ。

 それに対応しつつ両腕の鎌で敵を切り裂こうとするマンティス・サンダーバード。

 しかし、残念なことに一撃も当ることなくタイプβが難を逃れる。


 舌打ちするマンティス・サンダーバードは再び接近して来たタイプβの一撃を、ぎりぎりグリープで受け止める。

 足を保護する鋼鉄に阻まれ、タイプβの一撃は完全に封殺されていた。

 あっちも千日手だな。とはいえマンティス・サンダーバードの方が不利なのは変わらない。

 怪人とはいえ、その生身に一撃喰らえば致命傷とは言わずとも大きな隙ができる。

 対するタイプβはマンティス・サンダーバードの一撃が当ってもボディは機械なので余り問題がなさそうだ。


 タイプαと戦うバグカブトはその巨漢から繰り出される一撃を当てようとしているが、八足を持つタイプαにかなり苦戦気味だった。

 何しろ相手の動きが速い。

 さらに顔の部分から時折発射されるレーザービーム。

 紅い光線を警戒しながらなので勢い良く踏み込めないでいた。


 さらに接近すれば足からの一撃まで警戒しなければならなくなり、彼が一撃当てるには九ヶ所からの攻撃に対応しなければならないようだ。

 接近戦特化のバグカブトには少々きつい相手だ。

 なら誰が奴に勝てるか? と言われると困るのだが、ハルモネイアかほたるんの方が善戦するんじゃないか?


 自分なら誰を当てるか、王利は考える。

 そうであるならば、タイプαにはほたるんを。タイプβにはバグリベルレ。タイプδにはロクロムィス。これが妥当だ。とはいえ自分は一怪人。作戦に口出しするような存在ではない。

 せめて首領が居れば何かしらの指示を飛ばしただろうが、彼女は地下で治療を行っているらしいので、もうしばらくはこの状況が続くだろう。


 バグパピヨンに視線を向ける。

 リンプンが仲間に掛からない様エスカンダリオが風を操りフォローしているので縦横無尽に駆け回り機械達を狩っていく。

 その姿はまさに黒衣の死神。

 ちょっと怖いが、アレが自分の彼女だと思うと、かなり頼もしく思える。


 バグリベルレは攻撃力の低い機械を空中へと持ち上げ、危険な機械に高所から投下攻撃を行っていた。

 一度で二体以上を破壊できるのでかなり効率がいいと言える。

 輪で切り裂くのは機械相手だと相性が悪いらしく、早々にこの戦法に切り替えたようだ。


 ハルモネイアとほたるんは量産型ハルモネイアや空中を飛び交う無数の機械相手に弾幕戦を繰り広げているし、エルティアはドクター花菱を守りながら水魔法で攻撃している。

 そんな二人をフォローしているのがヘスティ。エルティアが討ち洩らした敵に口からビーム砲を発射して破壊している。


 善戦してはいるのだが、やはり敵の数が多過ぎて膠着状態に陥っている。

 そんな中、ようやく、岩蛙が地面からせり上がってきた。

 ロクロムィスは出現と同時に口を開く。

 その中から現れたのは、ベルゼビュート・ハンマーシャーク。

 痛々しい傷口を残したまま、血止めをされたらしい彼は無言でロクロムィスから現れると、ゆっくりと飛び上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ