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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
首領 → ラナ
148/314

王の出陣

 コックル・ホッパーは焦っていた。

 別に予言が当りそうだからとかそう言ったことではない。

 敵の強さを見誤っていたことだ。


 小型カメラを搭載した偵察機から送られる映像を見ている彼は、敵の無双状態に半ば呆然と立ち尽くしていた。

 世界中から無数の機械が彼らを殺しに向っている。

 それは数千数万数億では数え切れない大量の機械だ。

 ただし、機械といえど攻撃できる者は接敵したものだけである。


 しかし、悪と正義の連合軍は接敵させる前に歯向う機械を破壊していくため、彼らに被害が全く出ない。

 ただただ機械だけが大量のスクラップへと変わっているだけである。

 その様を見せられると、アレがここに近づいてくるという恐怖が沸き起こる。


 だが。と思い返す。もともと自分が行おうとしていたのは悪の首領になることだ。

 逆らうモノ、正義の味方。別の秘密結社の暗殺者。そういった者たちに常に命を狙われることになる。

 現に、彼自身も逆らうモノとなりクロスブリッド・カンパニーの首領を暗殺している。


 なれば、敵を恐れて引き籠っていては意味がない。

 いわば、これは前哨戦なのだ。

 コックル・ホッパーは自問自答の答えを見つける。


 そう、ゴキブリだからと狭い場所で隠れ続ける必要はない。

 蝗のように勇敢に果敢に、敵をただただ食い散らかせばよいだけなのだ。

 コックル・ホッパーは立ち上がる。

 淡い光を灯すモニタールームの座席から立ち上がり、部屋を出る。


 部屋の前には彼を護衛すべく集まった新鋭部隊。TPトランスプランター-882149。通称ゼルピュクネーが主の出現に気付き傅く。

 男性を模した機械兵たちは皆コックル・ホッパーが通りすぎるのを待ち、一人、また一人と彼の後を付いて歩きだす。


 彼らの行うべき行動は一つ。王の護衛である。

 王の為に開発され、王の為に活動し、王の為に破棄される者たち。

 王の手であり王の武器であり王の盾であり、王の……威光である。

 彼らはいついかなる時も王に付き従い、彼の為だけに命を掛ける存在である。

 その数は10機。少数精鋭だ。


 コックル・ホッパーは何も言わない。

 言わずにただ歩くだけだ。

 それで、彼らは理解する。

 己が行うべきは、主の為に盾となり剣となりそして死ぬことであると。


 ヘスティ討伐に向け、コックル・ホッパーは虎の子を全て出しきるつもりで動きだしていた。

 そのため、まず向ったのは工場。

 新たな機械を生みだす、機械族にとってはまさに子宮といっても過言ではない場所である。


「工場長、試作機は出来たか?」


「はい、エクファリトス王。タイプα、βともに良好。δに関してはもうしばらくお時間を。後1時間はかかります」


「時間の問題か。ならばよし、δの完成を待ってこちらから打って出る。あのしぶといゴミムシどもを潰してやる」


「了解しました。タイプδは今しばらく、作成を続けます」


 タイプα、β共に呼んでくる。と工場長が工場内へと消えていく。

 そしてしばらく、ここ数カ月に取り組んでいた新型機がようやくコックル・ホッパーの目の前へと出現した。

 動きも見た目もかなりしっかりと作られている。


 特にタイプβは人間に近くなったアンドロイド型なので暗闇では機械だと分かりづらい。

 そしてタイプαは八足機動式の蜘蛛の様な機械。

 機動優先のためこのようなフォルムになったようだ。

 見た目は気持ち悪いが、敵に回したくはない存在になるだろう。


 コックルホッパーは二つの機械を見てほくそ笑む。

 δもできれば一緒にお披露目と行きたかったが、さすがにまだ初機動すら出来ていないのではどうしようもない。

 早く作れとコックル・ホッパーは祈る。


 早く作って奴らを絶望のどん底に引きづり込んでやる!

 コックル・ホッパーは手ぐすね引いて待ち望む。

 最悪の機械が出来る、その時を。


「報告。第一防衛ライン突破されました」


「チィッ、思ったより速いな。あの見知らぬ武器のせいか?」


「未確認機能のため詳細を定義できません。我々が理解できる物質とは材質も効能も違うようです。未知のカテゴリーとして処理しますか?」


「いや、引き続きデータを集めろ。定義など後からでいい。ゼルピュクネー01、集めた武具情報を整理して報告せよ」


「了解。情報収集を開始致します」


 コックル・ホッパーの言葉にゼルピュクネー01は交信を開始する。

 数秒後、解析を完了したらしいゼルピュクネー01から報告を受けたコックル・ホッパーは信じられないといった面持ちで敵の扱う武具の情報を見る。

 その能力、どう見ても科学的に証明できない能力が付加されている。


「まるで、魔法の様だ……」


 と、呟きながらも、そんなことありえるハズが無い。と彼は考える事を止めた。

 結局は未知のカテゴリー、魔法武器(仮)として情報を処理するよう伝えるしかなかった。

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