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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
首領 → ラナ
147/314

世界中が敵

「む。来たぞ! 量産型ハルモネイアだ」


 首領の言葉にハルモネイアとほたるんが動き出す。

 ドクター花菱により更なる改良をされた二人は空飛ぶ量産型ハルモネイアの群れに両腕を換装した銃器を乱射し始める。

 さらにエスカンダリオもそちらに攻撃を移し始めた。


 地上部隊に対しては、バグパピヨンとバグリベルレが突撃する。

 バグパピヨンが迷宮で手に入れたのは巨大な鎌だ。しかも持ち手の部分を中心に対角状に突き出た刃を持つ鎌である。

 解体可能で、柄の中央部分が外れるようになっている。

 それを外すと小型の鎌が二つになる。

 今は二つの鎌を合わせた状態で回転させながら敵に突っ込んでいた。


 バグリベルレが手にしているのは輪である。

 持ち手以外は返しの刃等がついている接近にも遠距離投擲でも使用可能な武具だ。

 ただし、遠距離攻撃の場合は投げた後戻ってくるので手で受けなければ自分の腕がすぱっと無くなる危険な武器だったりする。

 バグリベルレはさすがにこれを投げる気はない様で、ひたすら接近戦で戦っていた。

 ちなみに、彼女は剣の方がいいと言っていたのだが、今回の迷宮で剣を見付ける事はなかった。


 彼女たちが討ち洩らした敵は爆裂拳というガントレットを付けたベルゼビュート・ハンマーシャークとマンティス・サンダーバードが打ち壊して行く。

 彼女の場合は手が鎌なので武器を装備出来ない。なので、グリープ系を装備させようとなったのだが、いい靴が見つからなかったので、ミスリルスパイクを装備して貰っている。

 殆ど自前の鎌で倒しているのでミスリルスパイクがお目見えする事は無さそうだ。


 エルティアは水呼びの杖を装備している。

 魔力消費無しに水属性魔法を使える杖らしいのだが、エルティアとしては水魔法は余り使わないので宝の持ち腐れ状態だ。

 その横ではヘスティが三叉の槍をロボの頭部へと突き刺す。

 巨大フォークのような槍がロボに突き刺さると、ロボが電撃に撃たれたように悶え、煙を上げながら沈黙する。


 確か、雷鳴の槍だっただろうか? ロボ戦には有効だろうと首領に無理矢理装備させられたものだ。

 結構役に立っているのだから実際首領の見る目はあったということだろう。

 その首領はと言えば、相変わらずロクロムィスに乗っての大質量による一撃で大量のロボを破壊していた。


 彼女には意思を持つ魔導書が与えられたはずだが、どうやら倉庫の肥やしになっているようだ。

 集めるだけ集めたら満足したのだろうか?

 王利にはどうでもいいことなので放置して、目の前の敵に意識を向ける。

 既に地平線を埋め尽くす程に集まったロボたち。


 このまま戦えっていれば、いかに超人だらけの王利たちといえども多勢に無勢、いつかは敵に倒されるだろう。

 このまま停滞すべきではない。

 それは既に皆分かっているので、徐々にだが少しずつ前進を始める。

 敵の居場所はエスカンダリオが索敵してくれているのであとはそちらに向かえばいいだけだ。


 ちなみに、王利が装備しているのは鎚である。四角いアダマンタイト製の鉄の塊は、スタンプのような模様が描かれた断面が前後に存在し、人一人を覆う程の平面で押し潰す重圧感のある鎚だ。

 断面の側面には無駄に棘が付いているのだが、これはあまり意味のない装飾品の様だ。

 ドクター曰く、スイングを行う事でこの棘に人を突き刺し相手に恐怖を誘うための物らしいのだが、相手は機械なので恐怖などするはずも無く、突き刺されば重量が増えるだけなので、王利にとってはまさに無用の長物である。


「ふん。ワンパターンだな敵は」


「仕方ないと思うぞ? 数は脅威だがこれだけいれば細かな作戦が必要無いからな。物量で押し潰す気だとおもうけど?」


 首領の上に陣取るドクター花菱は一人暇そうにしている。

 彼女は武器は持っていないが、風巻ローブという常に周囲に風の壁を巻き起こす防御魔法付きの防具を装備している。

 どうせ非戦闘員なので今はロクロムィスの上に居て貰っていた。

 よっぽどのことが無ければ狙い撃ちはされないだろうが、唯一の生身の人間なので一番死に易い人物だとも言える。


「しかし、このままだと少々キツイな。少しくらい休める場所はないものか?」


「いざとなればそっちの彼の能力で異世界に逃げたら? 休息しながら少しづつ確実に近づくのも手だと思うけど?」


「抜かせ。転移してしまうと次にこちらに来た時一から始めねばなるまい。それに……奥の手があるのでな。まだまだ余裕はあるさ」


「へぇ。さっきと言ってること逆じゃないか。でも、奥の手……ねぇ。御教授願いたいねそれは」


 首領の言葉に何かを感じたドクターが警戒するように呟く。

 しかし首領はソレを鼻で笑って流した。


「とにかく、今はコックル・ホッパー向けて前進するだけだ。そら、者ども次が来たぞ!」


 首領の言葉で王利たちは前方を見る。

 少し遠く、クレストガーディアンの群れが見えた。

 敵も、どうやら本腰入れてこちらを潰しに掛かってきたようだ。

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