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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
首領 → ラナ
146/314

ノクターヌの魔女が来る

 コックル・ホッパーは苛ついていた。

 敵が消えた。

 それだけならまだいい。

 死んでくれただけならそれでもう警戒する必要も無いのだから。


 しかし、それが死んだのではなく雌伏であるのなら話は変わる。

 王となった身で知らされたのはある預言である。

 内容としては、



 意志なき民が世界を統べる


 迷える羊は飼い馴らされる


 世界が女王の元一つとなった時


 第四世界よりエクファリトスの王が舞い降りるだろう


 王はその黒き身体で民を破壊し


 脅威の跳躍で意志なき者たちを蹂躙するだろう


 母なる意志は己の愚鈍に気付き涙する


 王たる者に逆らえる者は無し


 無力な民はその全てを捧げ王に忠誠を誓うだろう


 だが心せよ


 王を狙いしノクターヌの魔女が来る


 魔女は死に瀕したサルトレアの魔王を蘇がえす


 王は魔王に敵わない


 ああ、意志なき民よ心せよ


 滅びの時代が迫りくる


 という内容である。

 このうち無力な民はその全てを捧げ王に忠誠を誓うだろうという予言までは既に実現されていた。

 ここまでならば予言がはずれないことを証明するという意味では良い。

 だが、次から先はコックル・ホッパーにとって面白くない状況になっている。

 何せ、エクファリトスの王となったコックル・ホッパーを狙う敵が現れるのだ。

 その名も、ノクターヌの魔女。


 この世界でノクターヌというものが何を指すのか、調べはした。

 そこから察するに、得体のしれないとか、変化するモノなどを指す意味だとわかったが、そんな魔女の存在は今のところ来ていない。


 敵であるヘスティ以外の能力が不明なのは致命的だ。

 奴らが再び現れた時から、ノクターヌの魔女を警戒しなければいけない。

 語呂からして魔術の様な能力を持つ女だと思われるのだが、それ以外にも不穏な言葉がある。


 サルトレアの魔王。

 その名は、死者たちの王を意味しているそうだ。

 魔女は死に行く魔王を蘇すという。さらに、エクファリトスの王は魔王に敵わないと言われる。

 それはつまり、その魔王が復活した時、コックル・ホッパーの勝利が揺らぐと言う事でもある。

 とはいえ、この世界では全ての機械が自分の言う事を聞く存在。

 逃げた人間達も再捕獲しある場所に格納してある。

 死ぬ事はないだろうが、もう二度と日の目を見る機会は失われたと言っても良い。


 何も心配する必要はないはずだった。

 彼にとっては予言など信じるに値しないモノだ。

 そのはずなのだ。


 だが、それは唐突に、現れる。

 数か月、懸命の捜査も空しく誰一人見つかることのなかった正義の味方と秘密結社の混合部隊。

 そんな奴らが、急に、出現したのだ。


 報告を聞いたコックル・ホッパーは思わず椅子から立ち上がる。

 周囲に機械を侍らせた孤独な王はついにノクターヌの魔女が現れたことを悟った。

 そして全軍に指示を出す。


 たった一言の簡単な指示だ。

 すなわち、敵を殲滅せよ。

 この指令により、世界中の機械族達が敵に向け一斉に動き出す。




 第七世界へと舞い戻った王利たちは即座に戦闘態勢を取っていた。

 第十八世界で手に入れた武器防具を身に纏い、変身した彼らの元へ、さっそく機械族が現れる。

 最初は街中だったためか民間人ロボと警備ロボである。


 ルーンアックスを手にしたバグカブトとウインドスピアを手にしたバグアントが我先にとロボたちへ駆けて行く。

 彼らが持っているのは古代遺跡の迷宮で手に入れた武器である。別に神代級のアーティファクトではなく、一般人でも持っている様な武具だったが、この世界では未知の武器だ。


 ルーンアックスは魔力を帯びており、通常の斬撃ではなく魔力刃という属性の攻撃となる。

 このため、防壁として作りだされたビームのシールドをやすやす切り裂き無数のロボを屠って行く。

 ウインドスピアは突風を生みだす槍である。

 突けばその先端が接触時に突風を発生させ相手の傷口を悪化させるとされる。


 相手が機械なので触れた場所の機械がバキバキと音を立てて軋む。

 こちらは一機一機確実に屠って行くが損傷度合いで言えばどちらと対戦した機械も再起不能に陥っている。


 さらに、エスカンダリオが装備した無限の矢筒から矢を取り出し周囲に撒き散らす。

 自身の風魔法で弓で放ったのと同じ、いやそれ以上の速度で打ち出す無数の矢が、周囲を囲もうと詰め寄る機械族を穿って行く。

 彼の矢筒は一本だけ入れた矢を無限に複製する矢筒なのだが、今、中に入っているのは同じく迷宮で見つけた貫きの矢。


 とにかく貫くことに特化した先端がドリル状の矢である。

 こんなモノを喰らえばさすがに王利も無事で済むとは思えないが、エスカンダリオが裏切るようなそぶりは、全くない。

 どうやら首領との話し合いのせいで裏切ると言う事自体頭から抜け落ちてしまっているようだ。


 アレは多分、マインドコンロトールに近いと思う。

 何度か対談することでゆっくりと確実に重臣にさせる気だろう。

 王利は首領を見ながらさすがだな。と改めて尊敬の念を送るのだった。

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