異世界転移5
第八世界は超科学の世界。
王利たちが居た世界よりも高度に発展したその世界では、どこかのアニメでみたような近未来世界が待っていた。
車道があるのに空中を飛び交う車? の群れに、やたらラメの入った一般服。頭に生やされた謎の二本のアンテナなどなど、もはやどこの宇宙開拓? と突っ込みを入れたくなる程だった。
さすがの首領も引いていたが、ドクター花菱だけはむしろテンション高めに落ちつきなく周囲を見回していた。
周囲に立ち並ぶビル群も、どちらかと言えば丸みを帯びた四角形。あるいは丸型の建物が多く、行くことは無かったが遠くにはピラミッド型のカテドラルとかいう施設があった。
この世界はかなり有用な予感はしたものの、違法移民と間違われ警察が現れたので慌てて次の世界へと向ってしまった。
コックル・ホッパーが支配する第七世界をなんとかした後で、落ちついてから向うと、しきりにもう一度行きたいとねだってくるドクター花菱に伝えた王利、そんな彼らは次の第九世界で恐ろしい未来を見てしまった。
その世界はディストピア。
文明が破壊され、後は滅びを待つだけの世界。
空気は淀み、昼夜光化学スモッグに晒され昼間に太陽の光が届かない世界だった。
さすがにこの世界はきつかったようで、ヘスティやエルティアがせき込みだしたので、殆ど探索する間もなく次の恐竜世界へと旅立った。
ここまでの世界では、魔法のようなものを使っていた世界は存在しない。しいて言えば第四世界、つまり王利たちが居た世界くらいだろうか?
王利の記憶では確か魔法少女という存在が居たはずだ。
となると、他の世界も魔法を使う事は可能という事なのだろうか?
王利は考えこそ浮かんだが、こういう専門的哲学は首領たちに任せた方がいいと気付き、すぐに考えるのを止めた。
第十世界、魔法を扱う恐竜たちが跋扈する世界であり、人間種という者が存在しない世界であった。
魔族の類も存在せず、ただ恐竜たちが存在する熱帯雨林のような場所である。
王利たちが現れた場所は小高い丘の上で、周囲には密林。鱗の生えた大木に蠢くウツボのような怪植物。蠅を纏わり付かせた臭い花なども存在した。
空を飛ぶ翼竜が光の球を纏わり付かせて獲物へと光の球を飛ばす姿を見た時は、さすがに皆目を皿のようにしていたモノだが、エルティアが魔力の波動を近場で感知したことで我を取り戻し警戒を始めた。
そして、ティラノサウルスとトリケラトプスの魔法戦を見せつけられる。
他にも頭に三日月を付けた恐竜がゴルゴザウルスという草原の掃除屋を相手に戦っていたり、ブラキオサウルスたちの取っ組み合いも見せられた。
真由が写メ撮っていたのは知り合いのジャスティスレンジャーや仮面ダンサーに見せつける為らしいが、なぜかマンティス・サンダーバードも鎌の腕を器用に使って写メを取っていた。
意外と恐竜好きなのだろうか?
一頻り満足した王利たちは第十一世界へと旅立った。
そこは科学を失ったばかりの世界。
本来なら第九世界のようにディストピアに向う未来だったその世界は、偶然一人の男が魔法の概念を発見した事で、徐々に魔法世界へと移行を始めたようだ。
さすがに魔法といっても体系すら出来ていない魔力の塊状態のため、よっぽど頭のいい人物以外は上手に扱えない様子だった。
しかし一部の魔法使いは自在に火炎を生みだし、また水を生みだす。
ただ、ここで魔法に付いて彼らに学ばせる意味は無いので、触りだけ見て次の世界へと旅立つことにした。
ここで何かを手に入れるくらいなら、エルティアの世界の方がよっぽどよい武器や人材が手に入るだろうからだ。
次に向ったのは第十二世界。この世界では十一世界より少し時代を経た状態らしく、自然回帰してしまっていた。
農耕民族たちが村を作り少しずつ近代化へ向けて歩きだした世界。
また、この世界から魔物という生物が混じり始めた。
これ以後の世界には必ずと言っていい程魔物が出て来るようになったのだ。
ただ、この世界には知能を持った魔物は存在せず、動物の中でも魔法を扱う個体を魔物と呼んでいる様子だったが。
第十三世界は魔法世界。しいていうならば王利たちの居た世界でゲームにでてくるような、中世辺りの世界観に魔法と魔物がセットになった世界だ。
当然、そんな世界の街中に突如現れた奇怪生物もとい怪人軍団は魔物と間違われ、即座に衛兵たちが飛んできた。
王利たちは見学すら出来ずに即座に次の世界へと旅立った。
そして第十五世界。先程までの世界とは違い、この世界に人間は存在しない。
替わりに、異形となり果てた魔族が世界で町を作っている世界だった。
全ての大陸に魔王が存在し、ソレを束ねる大魔王が中央大陸に存在するのだとか。
とりあえず、王利たちは全員変身しておいたので人間だと目されることは無かったが、エルフの存在は忌の対象だそうで迫害を受けかけたのですぐに世界を飛ぶことになった。
首領がこの世界なら統治もアリだと言っていたので、近いうちにまた来ることになるだろう。