異世界転移4
「随分と回ったな……ここのダイヤルは幾つだ?」
「えーっと、20ですね。かなり回りました。そろそろ戻っても良いかもしれないですね首領」
王利たちは第一世界から始め、第二十世界へとついに辿り着いた。
これまで辿った世界は一つとして同じ世界は無かった。
どこかが似ていても、何かが確実に違う世界に規則性は無く、首領もドクターもどういう理由でこの順番に転移世界が登録されているのか全く分からない様子だ。
とはいえ、全ての世界を調べ尽くした訳ではない。
何せ世界は広大で危険地帯が多かったのだ。
どこかにヒントがあったとしても回り切れるはずもない。
そもそも今回はとりあえずどんな世界が登録されているか見るだけの異世界転移だったこともあり、殆どの世界を覗くだけで転移していた。
長く留まったのは第十四世界と第十八世界、後はついさっきまでいた第十九世界だろう。
第十四世界はゲームの様な世界だった。
そこで嬉しい知らせを知った首領が痕跡を辿ろうと言いだし、しばらく各地を回ったのだ。
嬉しい知らせとは死んだと王利が報告していた怪人の一人が生きていて、その異世界で女神に造られた死神として語り継がれ始めていたからである。
残念ながら彼が元の世界に戻って数カ月が過ぎていたせいで会う事は叶わなかったものの、そのクラスメイトと出会う事はできた。
その世界の間しばらく一緒にいたが、向うところがあるそうなので途中で別れた。
その後、第八世界に向った王利たちは、そこから順に異世界を覗いていき、第十七世界のエルティアの世界を飛ばして第十八世界、古代遺物に囲まれし魔法世界に向ったのである。
この世界でダンジョンというものに挑戦した彼らは、最奥に眠ると言われていた秘宝を入手した。
今はロクロムィスという宝物庫に保管されているので首領が全て押収した様なものだが、バグレンジャーやクロスブリッドカンパニーが手に入れた宝物は彼らが持っている。
一つのダンジョンをクリアした王利たちは第十九世界、魔法と科学が発展した世界。ドクター花菱曰く、魔科学世界らしい。にやって来た。
そこではドクターが無駄に昂揚してしまい、彼女の研究に付き合わされる形で王利たちも数カ月単位で留まらせられたのである。
そのおかげでほたるんとハルモネイアが想像もできない存在に作り変えられてしまっていたが、気にしてはダメだろう。
首領もノリノリで改造に参加していたので、二人で暴走しすぎたようだ。
さすがにバグアントが監視していたのでほたるんたちに自爆装置が取り付けられることはなかったようだが、マンティス・サンダーバードの最大威力のシザーズカッターを受けることで急激に運動性能をあげるブースト機能を取りつけたようだ。
マンティス・サンダーバードは自分の必殺がただの補助行動になったことにちょっと涙目だったのは誰もが目を逸らした事実である。
「ふむ。ではこの世界を探索する前にとりあえず今までの異世界を纏めておくか」
首領はロクロムィスから紙とペンを持って現れる。
……哀れロクロムィス。死した後は首領の身体兼移動型倉庫として扱われているようだ。
さすがにこの仕打ちに彼の戦友だったエスカンダリオも呆れ気味である。
さて、王利の転移装置に記録されていた世界であるが、以下のような割り振りになっている。
0 ???
1 線の世界
2 平面世界
3 立体世界
4 現代世界
5 修羅世界
6 人型兵器終末乱世
7 機械の世界
8 超科学の世界
9 ディストピア
10 恐竜世界
11 科学を失った世界
12 農耕民族の魔法世界
13 魔法世界
14 イエス! ロリータ! ノータッチ! 革命後世界
15 魔王エンド世界
16 平和すぎるチート世界
17 エルティアの世界
18 古代遺物に囲まれた魔法世界
19 魔法と科学が発展した魔科学世界
20 ???
21 ???
22 ???
23 ???
24 ???
25 ???
26 ???
これが今まで王利たちが体験して来た世界である。
最初の第一世界から第三世界までの規則性が嘘のように、以降の世界に規則性は無かった。
強いていうなれば……
「ふむ。第十世界までが科学世界とでも言うべきか」
「そういえば、第十世界からは魔法の概念が入って来てましたね~。ティラノザウルスが口から怪光線吐いてるの見た時はゴ○ラかと思いましたし。トリケラトプスが火炎弾で反撃してましたもんね」
「そこから先は第十九世界の魔科学として科学と魔法が融合するまでずっと魔法世界だった」
魔王に滅ぼされた世界もあれば、魔王も戦争も全て終結して平和すぎた世界もあった。
余りの長閑さと住民のチート具合に逃げるように転移したのも、今となっては王利のいい思い出だ。
あの平和すぎる魔法世界、全員ステータスMAX状態だから下手に戦争起こせなくなったんだと。
生まれた時から既に全ての能力値が限界値で死ぬまで変わらないとか……ある意味停滞した世界だった。
逆に第十一世界は科学を失って少ししか経っていない世界らしく、魔法が発見され始めたばかりだったらしい。発展途上なので今後どうなるかが首領には気になって仕方がないらしい。
またちょくちょく行ってみようと何度も言われていた。