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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
マザー → エクファリトスの王
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正義の味方救出作戦

「さてさて、また随分と面白い構図になったものだ」


 骸と化したロクロムィスの上で、寝そべりながら、首領が呟く。

 彼女の前には望遠鏡が設置され、首領がギョロつく目で覗きこんでいる。

 少女を操る首領は両足をぶらぶら動かしながら楽しそうに舌舐めずりをした。


「どうです、首領? 葉奈さんたちは?」


「本当に捕まっているようだ。ふむふむ。全員一箇所に囚われているのは好都合」


 遥か遠く、十字架の様な巨大な磔台はりつけだいに見知った者たちが磔られているのが見える。

 真由だろう、金髪女性が何やら下に向って叫んでいる。

 どうせコックル・ホッパー自身か処刑用ロボに悪態付いているのだろう。

 残念ながら声は聞こえないが、ほたるんもドクターも、他の面々も揃っているのは確認できた。

 破壊したロボを寄せ集めて造った望遠鏡から眼を放し、ロクロムィスの横で自分を見上げる王利たちに首領は言った。


「では、これより秘密結社新生インセクトワールドと新生クロスブリッド・カンパニー(仮)の合同による正義の味方救出作戦を開始する。作戦内容はこうだ」


 まず、先制攻撃としてエスカンダリオが接近、水素を取り込むことで爆発する心臓部を機械が密集する敵軍のど真ん中へと放り投げる。

 さらに遠距離砲撃用の換装腕パーツを取りつけたハルモネイアがその心臓部を打ち抜き敵陣を混乱させる。

 その後、全員で突撃し正義の味方の元へ急速接近。

 王利の異世界転移で別世界へワープ。


 これでとりあえずは危機を脱出できる。

 ちなみに、首領はロクロムィスを操り一足先に正義の味方の真下に向っておくらしい。

 作戦に要する時間を正確にきめて首領はロクロムィスに乗り込み土中へと消えて行く。


 それからしばらく……時間だ。とエスカンダリオが空へと浮かんで行く。

 全員が配置に付く中、ハルモネイアが自身の腕を換装し終え、巨大な砲塔をロボ軍団へと向ける。

 さすがに威力が高い分反動が強いため、設置式の砲身だった。このため彼女はすぐには動けない。

 この一撃を撃った後、急いで換装して後を追ってくる手筈になっている。

 この遠距離砲撃用換装腕パーツはこの場に投げ捨てである。


「そろそろエスカンダリオが着くくらいか?」


「問題ありませる。投下予定地到着確認、砲撃用意。3・2・1……発射ファイア!」


 収束砲とでも言うべきか、巨大な砲塔が唸りを上げてエネルギーを溜めこむ。

 発射の合図と共にそれは物凄い熱量と共に眩い光を迸らせた。

 さすがの威力に反動でハルモネイアの身体が若干ずれる。


 地面を削り、真っ直ぐに伸びた光がぶれないよう、必死に砲塔を押さえるハルモネイア。

 砲塔から光が消えてしばらく、遥か前方、目算たがわぬ場所で光は何かに直撃した。

 刹那、光が膨張する。


 まずは衝撃波。

 通りすぎる前に音を消し去り、強力な打撃でビル群をふっ飛ばし、光がソレを追って行く。

 爆風が吹き荒れさらに無数の破裂が巻き起こる。

 バグレンジャーも巻き込まれたんじゃないかと王利は不安に駆られるが、その為のエスカンダリオである。

 彼が風を操り爆風から守っているだろうことを信じ、王利たちは更なる行動を開始した。


 ヘスティが王利を、ベルゼビュート・ハンマーシャークがエルティアを抱え、マンティス・サンダーバードだけは何も持たずに飛翔する。

 遅れて換装しなおしたハルモネイアがバーニア吹かせて飛び上がった。

 すぐに追い付き全員で突撃する。


 未だ吹き荒れる爆風は全てエスカンダリオが風の流れを操作してくれているので王利たちはただ真っ直ぐに飛行するだけだ。

 飛行するすぐ横を爆風と熱波が押し寄せる。

 しかし風がまるでトンネルを作ったように王利たちに風圧が向うのを阻止てくれていた。


「これならいけそうだ」


「敵性個体からの攻撃反応なし、熱源が多いため私たちを認識しておりませる」


 みごと、爆風が陽動になっているようだ。

 ハルモネイアの言葉に少し安心した。

 なんとか敵に勘づかれる前にバグレンジャーの元へと辿り着く。


 ナイスタイミング。とばかりにエスカンダリオも急降下。さらにロクロムィスが地面から顔を出す。

 悔しげにロボたちを見つめていたバグレンジャーは複雑な気持ちで助けに来た者たちを見るが今はそれどころじゃないと、されるがままになっていた。


「W・B!」


「行きますッ!」


 首領の声に王利はすぐにダイヤルを回す。

 王利が光に包まれ、彼の周囲に存在する者、全てを巻き込み異世界へと転移が始まった。

 だが、この時王利はミスをした。

 第四世界に戻る予定だったに関わらず、焦ってダイアルを回し過ぎたのである。

 そう、彼らは異世界へ転移した。彼らに取って全くの未知の世界、第二世界へ、転移したのである。

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