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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
マザー → エクファリトスの王
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王の居場所

 ようやく落ち着いた。

 エスカンダリオの活躍により海に捨てられたらしい爆発し続ける核は、海の中でも大爆発し続けていたらしい。

 エスカンダリオも冷や汗混じりに見守っていたが、しばらくするとようやく爆発が収まりだしたので戻ってきたそうだ。


 海の生物たちには迷惑な事この上ないが、王利たちの安全のためにも我慢して貰う。

 そんな王利たちは跡形もなく吹き飛んだマザーのあった場所に集まり、今後の行動を打ち合わせていた。

 出来うるならバグレンジャーと合流することで戦力を強化したいところではあるものの、そういった場所の防備は向こうの方が上だ。


 見つかればまさに数千数万、いや下手すれば数億単位の機械がヘスティ目掛けて殺到しかねない。

 目の前で解体作業を続ける機械たちも、何時王の命令を受けてヘスティ捜索に加わるともしれないのだ。決して油断はできない。


 この世界、何処に向ってもロボは存在する。

 このまま適当に移動してもエクファリトスの王に辿り着く前に敗北するだろう。

 第一、量産型ハルモネイアが強すぎる。

 眼からのレーザーが王利の装甲を貫く程なのだから下手に囲まれれば死は確実。


「エスカンダリオ、首尾は?」


「うむ。あの油の持ち主なら特定した。ここから南西293kmの所にいる」


「どこかは全く見当もつかんな。とりあえず、突撃するか」


「罠だとしても突撃する以外選択肢がないのが痛いところだな」


「バグレンジャーと挟撃できればいいけどな」


 王利の楽観的な言葉に首領は被りを振る。


「それは期待するな。我々のみで倒す事を考えろ。来る当てのない援軍程頼りにならんものはない」


 ごもっともでした。王利は思わず押し黙る。

 王利を口封じした首領は、もう意見はないな。とばかりに皆を見回し、エスカンダリオに指示を出す。


「エスカンダリオ、奴の元へ向うぞ。案内しろ」


「よかろう。こっちだ」


 エスカンダリオを案内役に、王利たちは南西向けて歩きだす。

 マザーの施設が郊外に建てられているため、南西部は市街地に入っていくようだ。

 どこも町並みが似たり寄ったりなのでどの辺りかはやはり分からないが、ハルモネイアがある程度の地理を持っているので、彼女の町周辺にさえ付けばその辺の地理は何とかしてくれるらしい。


 残念ながら今のところ彼女の見知った町並みは無いらしいので地図無し旅行みたいなものだが、行き先がはっきり決まっているので精神的な負担は少ない。

 それでも、クロスブリッドカンパニーの二人は随分と気落ちしている。


 王利たちが手伝う必要はなかったものの、最後の敵は倒すこと叶わず、むしろ倒されてしまったのだ。

 あまり強い顔をできなくなった二人は互いに見合いながら溜息を吐く。

 そんな二人を見ながら、首領はふむ。と何かを考える。


 しかしロクロムィスの体内に寄生中の彼女は思考している様が周囲に良く分からない状態の為、気付けたのは王利だけだった。

 伊達に長く一緒にはいていない。


「どうかしましたか首領?」


「ん? いや……気にするな。それより、そろそろ市街地だ。周囲のロボは全て敵と思え」


 ついに市街地まで戻ってきた。

 その刹那、やはり機械たちは一斉に王利たちを発見し、一機、また一機と彼らを取り囲むようにわらわらと出現する。


 いつでも戦えるとばかりに円陣で戦闘態勢を取る王利たちに、ロボの一体が近づいてくる。

 犬のロボに首輪を付けリードを持った一般人型のロボだ。

 そいつはヘスティの前へとやってくると、リードを離し、眼を点滅させた。


「あ、あー。只今、マイク、テスト中」


 機械めいた声で話しだす。


「ヘスティ・ビルギリッテですね。エクファリトスの王より伝言をお伝えします」


 伝言?

 王利たちは思わず首を捻る。


「我、正義の味方を捕え、これより処刑を行う。場所は廃棄処理場。貴様が首、差し出すを、待つ」


「お、おい、まさか……正義の味方を捕まえたって……」


 それはつまり……バグレンジャーが捕まった?

 王利の全身に悪寒の様な震えが駆け抜ける。


「葉奈……葉奈さんは!? 葉奈さんは無事なのか!?」


 思わずそのロボに駆け寄り肩を掴む。


「その人物に対する、指令は、受けておりません」


「何、場所は分かっているのだ。エスカンダリオの案内で向う場所に敵がいる。だろう、エスカンダリオ?」


「うむ。おそらくだが向こうはすでに万全の準備を整えているぞ? 行くのか?」


「お前が居れば十分勝てる。働きを期待しているぞエスカンダリオよ」


「ふん。貴様に期待されても嬉しくなどない」


 首領の言葉に少し照れたような表情でいうエスカンダリオ。ツンデレとか、似合わない。

 そんなエスカンダリオの態度のせいか、妙に冷静になった王利は焦る気持ちをなんとか抑える。

 敵はコックル・ホッパーだけじゃない。

 葉奈が危険かもしれないからと何の対策もなく向うべきじゃない。


「さて、こちらも準備を整え奴に一泡吹かせてやろうではないか」


 首領が薄気味悪い笑みを浮かべる。

 首領の姿を見たことのある古株のインセクトワールド社怪人がいれば、きっとああ、また悪だくみしてますな。と思う笑みだったが、王利を始め、その笑みの意味を知るものは今、ここにはいなかった。

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