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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
マザー → エクファリトスの王
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クロスブリッドカンパニー急襲

「何をするかと思えば、あの女がお前たちから離れないように念押しか」


 王利が部屋に戻ろうとすると、様子を窺っていたバグカブトが話しかけてきた。

 彼も後ろを付いて来ていた事を隠す気はないらしい。


「ああ。首領にとっては大切な人材だからなエルティアは。出来る限り、離れてほしくはないと思ってる。そのための努力くらいするさ」


「ふん。あの悪玉の何がお前らを引き付けるのか全く分からんな。俺には憎悪の対象にしか見えん」


 バグカブトにとっては自分を改造し、日常生活から切り離した極悪人たちの頂点に位置する存在だ。

 首領を倒すことは彼の悲願とも言える。

 それでも、葉奈を敵に回しこれ以上バグレンジャー内に被害を出すことになるよりはと、甘んじて王利たちとの休戦に賛成しているのだ。


 出来うるならば、今すぐにでも首領の首を捻ってしまいたいところだろう。

 なにせ、手を伸ばせば手折れる場所にその首領がそんざいしているのだから。

 ただ、彼は知らない。手折ったところで首領は死ぬことはないということを。

 いや、実際に戦うとすれば強力な体当たりで押し潰す方だろうか?


「しかし、秘密結社の首領があんな子供の様な姿だとは思わなかったな」


「首領の姿は……まぁあの人の趣味らしい。それで、言いたい事はそれだけか?」


「いや。一つ聞いておきたいことがあってな」


 先程までとは違い真剣な表情でバグカブトが一端言葉を切った。

 そこへエルティアが戻ってくる。


「あら? 勇者様、先に戻られたのでは?」


「ああ。ちょっとバグカブトと話があるんだ。先に戻っててくれ。すぐ戻る」


 エルティアは了解したと去っていく。

 その姿が見えなくなるまで見送って、王利たちは再び互いに意識を戻す。


「クロスブリッドカンパニーのことだが、仲互いしていたのだったな」


「ああ。最後に見た感じだと、コックル・ホッパーと他の三人がギクシャクしてた気がするな」


「そして、コックル・ホッパーがえくふぁりなんとかになった。つまり、他の三人の行方は不明……と」


「……そういえば、あいつらどこに」


「奴らの狙いはヘスティという女だったな。なら、この世界に来ようがやるべきことは一つ。だな」


「ここに来る!?」


 王利が結論を出した瞬間だった。

 建物が揺れた。

 衝撃と爆破音。そして遅れて作動するアラーム。

 確認すらせずに王利とバグカブトは走りだしていた。


 管理室に戻るとすぐさま全員の無事を確認する。

 慌てることなくモニターを見ながら物凄い速度でコンソールを操作する首領とハルモネイア。

 めまぐるしく変わるカメラを見ながら指示をする真由と葉奈。

 王利たちが入って来たことで一瞬視線が集まるが、すぐに皆やるべきことを行い始める。


「遅いぞ! 何をしていた!」


 バグアントからの叱責が飛んで来たが一言悪いと謝りバグカブトが彼と合流する。


「俺はドクターの安全を確保する。カブトはこちらを任せるが、いいな?」


「ああ。任せろ。バグレンジャーが三人もいる。やられることはない」


 言葉を交わし、バグアントが王利の側を通り過ぎて部屋から出て行く。


「くっ。奴ら人間たちを隔離する施設に侵入しおった!?」


「大丈夫でる。今彼らは機械に護衛されながら緊急脱出路に入りましる」


「だが追いつかれるな。仕方ない。LOレゾンオプトル-912・甲型を数機向わせよう」


「了解」


 首領とハルモネイアが慌ただしく動く。

 そんな中、葉奈と真由がぎりりと下唇を噛んでいた。


「あたし、行くわ」


「お供します葉奈さん」


「……W・Bだったな。ここは任せるぞ」


 バグレンジャーの面々が、逃げ惑う人間に我慢できず、侵入者たちの元へと駆けて行く。

 後に残されたのは王利とヘスティ、エルティア、首領、ハルモネイアだけだった。


「勇者様……」


 不安げな顔でエルティアが近寄ってくる。


「大丈夫だ。彼らが負けるとは思えない。それより……奴らの狙いはヘスティだ」


 何も出来ず手持ちぶたさにモニター群を眺めていたヘスティが王利の声に近づいてくる。


「あの三人、まだ来るデスね」


「ああ。それも……モニターに姿が見えない。おそらくミカヅキ・メイフライが陽動を行ってる。他の二体が、こっちに来るぞ」


 王利の半ば確信した言葉に、ヘスティとエルティアが生唾を飲み込む。


「……来まる」


 ハルモネイアの声が嫌に冷徹に聞こえた。その瞬間。

 ドアをぶち破り、ベルゼビュート・ハンマーシャークとマンティス・サンダーバードが管理室へと押し入って来た。


「見つけたぞヘスティ・ビルギリッテ」


 出現した二体の敵に、首領が手を止めてやってくる。


「きおったかクロスブリッドカンパニー」


「なんだ貴様は? ……改造人間か。また醜悪な顔つきだな」


「抜かせ。貴様等とそう変わらんだろう。むしろ幼女。ロリ体型で可愛らしい我が素体の方がまだ可愛げがあろうというもの」


 首領の言葉には誰も頷けなかった。

 けれど首領は気にせず二人の侵入者に語りかける。


「悪いなクロスブリッドカンパニー。ヘスティ・ビルギリッテはすでにインセクトワールド社員として我が組織に属している。たとえヘスティを殺しても、インセクトワールドとの争いは無くならんぞ。どうだ? これから潰れる秘密結社など捨てて我が下に付く気はないか? 今ならば高待遇で我が直属の部下にしてやらんこともないぞ?」


「黙れ、インセクトワールドが壊滅したのは既に調べが付いている。首領だろうがなんだろうが、貴様に付く意味はない。貴様が何者であろうとも下に付く気など毛頭ないがな」


「そうか。残念だ……W・Bそしてエルティアよ。我が秘密結社の実力を思い知らせてやれ。二度と私に逆らわんよう徹底的にな」


 首領の言葉を皮切りに、王利はすぐさま言葉を呟く。

 変身の言葉、「flexiоn!」と。

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