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6項目 エレベータの逃げ場は天井だね?

◆地下二階

 エレベーターの扉の前で黒い人々が待機している。

 下っ端構成員、ショッ○ーである。

「天まで我らを下っ端と、○ョッカーと呼ぶ……」

 プロなのに、と呟く声がするがスルー。

「ごほんっ。えー任務だ。エレベーターがここを通り抜ける時に持っている銃を撃て。心配せずとも跳弾はしない特殊弾頭だ。エレベーターの扉くらい軽々ぶち抜く。フルオートで全て撃ち尽くし、中の者を掃滅するのだ!」

 リーダー格の男が大声を上げる。

 中の三人と一匹を纏めて撃ち殺す作戦らしい。

 エレベーターがいよいよ地下二階に到達する地下三階にさしかかる。

「《冷却》用意!!」

 《冷却》でオーバーヒートしないようにするらしい。

 銃は多少改造が加えられているようで元が良く分からない。

「全員、撃てー!!」

 発砲音が響き渡る。

 言い分の通り弾丸は軽々エレベーターの扉をぶち抜き、確実に内部に生存者がいないくらいにグシャグシャにする。

「任務完了。後は上の者が処理をするだろう」


◆エレベーター天井裏

「あぶねえ。焦った……」

 頑丈なチタン合金の盾の後ろに彼らは冷や汗をかきながら座っていた。

 彼らは天井裏で《剛板》を使って難を凌いでいたのだ。

「お前の言った事当たってたな」

 スティーブは頭をかきながら

『ほんまに来るとは思わへんかったけどなー』

 と、言った。

 スティーブは見事に敵の作戦を見破って指示をした。

 耳打ちだったのは盗聴器があるかも知れなかったから。

「そろそろ一階だ。全員用意はできたな?」

「ええ」

「おー」

『大丈夫やでー』

 やや気迫に欠けるがそういう人達なのでしょうがない。


◆一階

 手袋をはめて袋を持った集団がエレベーター前に居た。

 下っ端の補助役、つまり一番階級の低い者たち。

「いつもの事だが死体の回収を行う。今回の仏は原型を留めているか怪しいらしい」

 エレベーターが地下一階を通過する。

「丁重に葬る事を怠るなよ。死者を雑に扱うな」

 なんだか良い人っぽい発言だ。

 エレベーターが一階に到着する。

「よし、開始だ」扉が開く。

「ごめんあそばせ」

 聖が立っていた。

「は?」

 開いたら惨劇の場だと思っていた彼らは対応が遅れた。

 聖の式《翔鉛》が乱射される。

 高速で打ち出された鉛弾は男たちに当たって吹っ飛ばす。

「暴徒鎮圧!」

 哀れ。気絶、悶絶している男たちの間を通って出口に向かう。

「お、誰も死んでねぇな」

 感心したように茂が言う。

「無闇に殺す事も無いだろう」

 晶が後に続く。

『そうや、平和が一番や』

 ここははっきり言って無法地帯。平和とは程遠い。

 出口から出ようとすると勢い良く鉄格子が落ちてきた。

「こんなものは吹っ飛ば……」

 続いて壁がせり上がり斧が行き来して断頭台のようにシャッターが落ちてきて大剣が降ってきて横から槍が出現して

「トラップ多いわ!」

 茂の突っ込みが炸裂して天井から液体窒素が降り注ぎ床から高温の溶けた金属が溢れ出して水がどこからか湧き出て来て水蒸気爆発が起こった。

「うお!」

 吹っ飛ばされる三人と一匹は階段に叩きつけられて止まる。

「何気に一番強い敵だったな」

「足立とは違う意味でな」

 足達にばっさりと斬られた晶は言う。

「あーあ、一階からは出れないね。上行く下行く?」

「下に行っても出れないだろう。幸い、ここは地下を抜けば多分二階建ての建物だ」

「何で二階建てって分かるのさ?」

「先程のエレベーターのボタンが二階までしか無かった。更に一番下にあった見取り図も二階までだった」

「よく覚えてるな……」

「そう言えば最初の部屋にあったねぇ見取り図」

「上に行くしかないか。ボス戦?」

「どっか下の方にいた奴のどれかがボスだったって事もあるでしょ」

『いや、一番上にいるのがボスや。ここのボスは高いところが好きだから』

「ふーん。何とかと莫迦は高いとこが好きってね」

 隠すところを間違えている。


◆?????

 モニターを通してほぼ全ての出来事を見ていた男は頬を引き攣らせていた。

「俺が莫迦だと?ククク、殺す!絶対殺す!」

 女は溜め息を付いた。

(事実でしょうに……)

「何か言ったか?」

「いえ、何でも」

 この男は妙なところで鋭いみたいだ。

「それより上がってきますよ?よろしいのでしょうか?」

「ふん、お前が何とかせい。万一やばくなったら加勢してやる」

「はあ……」

 正直一対四では分が悪いが負ける事は無いだろう。

 何せ一応プロなのだから。


◆二階前

「とうとうここまで来たんだな……」

 真剣な顔をした茂が言う。

「ええ、そうね」

 これまた真剣な顔をした聖が頷く。

「これで、終わるんだな……?」

 聖の方を向く。

「そうよ。ここで終わりよ」

 茂の方を向く。

「ならばゆこ……」

 最高潮に達する前に

「そこの莫迦二人。漫才してる暇があったら情報の整理をしろ」

 晶の突っ込みがとんだ。

『緊張感ないんやなぁ』

 スティーブの感想。

「シリアスって俺等には合わないし、たまには劇っぽく」

「そうそう。RPGっぽく」

「ゲーム脳め。まあいい、体に異常は無いな?」

 茂が手を上げた。

「俺、便所行きたい」

「……待っててやるから行って来い」

 次に聖が手を上げた。

「お前も手洗いか?」

「違うよ、眠い」

「………」

 晶は聖をぶん殴った。

「目が覚めたか?」

 笑顔の晶。ただし目は一ピコグラムも笑いの成分は入っていない。

「……痛いだけだよ」

 涙目になる聖。

「しょうがない」

 晶は聖に軽く《活性》をかけた。脳に刺激を与えてアドレナリンを分泌させる。

「目が覚めたか?」

「最初にこっちをしてよ。殴られ損……」

 茂が帰ってきた。

「ただいまっと。何で聖涙目なの?」

「うう〜、晶に殴られた〜」

「よしよし。痛かったねぇ〜」

「夫婦漫才はそのくらいにしておけ」

『因みに、ボスは男で側近は女や』

 スティーブが思い出したように言う。

「今更有力情報か……側近。三対二か」

『わいは入ってへんの?』

「そうだが?」

 晶は笑みを浮かべて肯定した。

「こう見えて実はその道のプロだからな」

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