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1項目 科学って偉大だね?

 少し未来。今世界は別に消滅の危機に瀕していなかった。

 『このままでは地球温暖化で沈むだろう』や『森林伐採による砂漠化』などを言っていた時よりも遥かに進歩した技術によりむしろ良くなっている言われている。

 更に行き過ぎた科学は最早『魔術』に匹敵するというわけで縮めて『過学』にそれを駆使する術を『過術』などと呼ばれていた。

 具体的に言うと空気に干渉して空気摩擦を起こして煙草に火をつける《着火》から人為的に空間を捻じ曲げて別の場所に行く《転移》まで幅広く使われていた。

 当然、それは軍事にも使われていて攻撃や防御にまで使える。

 しかも特別な才能は必要が無い。強いているのは体力と――『科学に対する情熱』ぐらいである。

「こんなに便利に聞こえる『過学』。当然学校はカリキュラムに組み込む訳であってそして人には得て不得手があるわけで俺みたいに基本的に勉強に対する情熱が欠片も無いならさぼっても問題なしだと思うんだよ」

 とある中学の教室で少年が後ろの少年に熱弁している。

 彼の名前は雨宮茂。かなりのハイテンションでマシンガンのように喋っている。

「ふーん。それで?」

 こちらは藤沢晶。やる気のなさそうな顔で欠伸交じりに返事をするものだから余計にやる気がなさそうに見える。

 ちなみに何の話題かと言うと

「俺はなぁ晶。次の過学は出なくても良いと思うんだ」

 次の授業をサボるか否かと言う話題だ。

「雨宮、落ち着け。そして正気に戻れ。次の授業はボイコットしたら目ぇ付けられる厄介な授業だろう。それに最後くらいきちんと起きて授業受けろよ」

 見事に意見は違うようである。

「だってよ、あのセンセの授業は退屈なんだ。寝てたら起こされるしよ」

「良薬は口に苦し。将来とても役に立つ。それに寝ているのは起こされて当たり前だ」

 そう言われた茂は少し真面目な顔になって言った。

「将来の事は将来考えればいいんだ。いいか今は青春だろうが。下らん授業を受けるより遊ぶべきだ!と、俺は切に思う」

「そうか。だが雨宮よ、後ろを向いて同じ事が言えるのか?」

「あ、何だよ?……ゲッ」

 後ろに立っていたのは科学の教師だった。

「ほう、俺の授業は下らないのか。それならもっと楽しいのをやらせてやろう。どうだ嬉しいか?」

 過術、《発雷》の起動で科学教師の腕から閃光がはじける。

「イエ、ボクハ、センセイの、タノシイ、ジュギョウガ、ウケタイデス」

「ふん、まあいい」

「は、調子にノンなクソ先公が。死ね」

 小さく悪態をついた茂だったが科学教師は地獄耳だった。

「雨宮、寝ても今日は起こさない。だが――」

 過学教師はニヤリと笑みを浮かべて。

「寝てた時間×宿題量だから覚悟しとけよ?」

「な、テメ……!」

 そのときチャイムがなった。

「せいぜい寝ないように頑張れよ。よし授業を始める。全員着席!」

 きりーつ、れい。と声が聞こえる中

「出来る限り寝そうになったら突付いてやろう、多分」

「多分かよ……」

 げんなりした顔で席に座った。


 過術発動に使うのは筋肉を動かしたりするときに出る電気と物質を構成している物のイメージ。

 前者は科学で言えば実験器具全般。後者は作った物に用途を与える。

 器具がなければ実験はできず、作る物がはっきりしていなければ意味が無い。

 要するに過術は器具なしで実験して、ある程度操れるといった具合のものである。


 授業終了を告げるチャイムが鳴り響く。

「はぁ〜〜……」これは茂のため息だ。

 結局彼は晶の力もあって起き続ける事が出来たのだ。

「やれば出来るじゃないか。次からもこの調子で頑張れ」

 そう言って科学の教師は出ていった。

「ヤロウ、いつか死なす……」

 流石にドアを隔てては聞こえなかったみたいである。

「良かったな」

「ああ、お前が居なければ宿題が四十五倍になるとこだった」

 授業が一限五十分だから八割は寝ている事になる。

「出だしで普通に落ちるなよ」

「それと晶。お前途中から《発雷》使ってただろ」

「仕方がない。呼んでも起きなかったんだ」

 そして担任が教室に入ってきた。

「よし、H.R.はじめるぞ。全員席に戻れ」

「よし、終わったら起こしてくれ」

「まだ寝るつもりか」

 晶は少々呆れた感じで言ったが、

「……すこー」

 茂はもう聞いてはいなかった。

「はぁ」


◆?????

 異形の軍勢が城前に集まって、破壊しようとしている。

「アルドレム様、お逃げ下さい!」

 アルドレムと呼ばれた男は寝癖ではねている髪を撫でつつ

「ん?ああ、それじゃ」

 と、言って出て行こうとした。

「アレドレム様、そこは『お前達だけ置いていけるか!』などとはおっしゃらないのですか!?」

「あぁ?逃げろっつったの、お前じゃん」

 家臣らしき男は持っていた剣を取り落としかけた。

「つかよ、ぶっちゃけお前等も逃げろよ。この城だって壊されんのに時間がかかんだろ。その間に逃げようぜ。戦って死なれてもオレはわざわざ拾いに来ないぜ」

 アレドレムはそこらにあった剣を拾って逃げる準備を整えると

「ささっと行こうぜ。っと、アリネは何処行った?」

「ああ、アリネシア様は部屋で支度をして――」

 ドアが開いて十四位の少女が入ってきた。

「皆様ー早く逃げましょう」

「アリネ良く言った。そら全員逃亡!」

 豪華な椅子をずらし、床を五回叩き、出てきたパズルを解き、今度は壁に出現した文字を音読し、天井のシャンデリアを右に七回左に三回右に五回捻り引っ張る、そして出てきた――。


◆教室

「長い!んなにやってたらふつーに城が壊されるだろ!」

 大声を上げて起きたのは茂。

「やっと起きたか。念のために言ってはおくが起こそうとしたんだ」

 見ると教室にはほとんど人が居ない。

「今何時?」

「現在午後四時二十二分だ」

「H.R.からここまで寝続けたアンタは凄いわよ」

 茂の後ろから現れた少女は風見聖。

「はよ晶、聖」

「早く無い」

「さっさと帰りましょう」

「ほいほい」


◆帰路

「何の夢を見ていたんだ?」

 晶が話題を振る。

「そうそう。長いって叫んで起きる夢って何よ?」

「あー、それか」

 夢の中を説明、終了。

「って夢だ」

『ゲームのしすぎ』

 二人が同時に突っ込む。

「う、でもよぉなんかマンホールとか乗ったら異世界とかに行きそうじゃね?」

 ホラ、こんな風にさ。そんな事を言ったとたん辺りが暗くなり浮遊感。

「……なあ、確か蓋は閉まってたよな?」

「ああそうだな」

「で、何で俺達落ちてるんだ?」

「そんなの、分かるわけ無いじゃない」

「そもそもここは下水道に繋がっているのか?」

「いや、それにしては落下時間が長すぎる。それに異臭がしないから下水に落ちているとは思えない」

 すると下から光が見える。

「……なんか見えるわね」

「出口だろ?やったじゃん」

「下が地面じゃなきゃいいが。叩きつけられたら即死だ」

「下が空ねぇ。有り得ないわ」

「じゃあ俺等は仲良くミンチだな。どれが誰なんて分からない程に」

「……いや過ぎる」

「お、お前等冷静だなおい!何でだよ!?」

「だって、ねぇ?」

「今更焦っても無駄だろう。そろそろ出口、だぞ?」

 抜けた先はなんと空だった。

 正確には空に似せた立体映像と言ったところみたいだ。

 下には広い空間が広がっている。

「……有り得たわね」

 げんなりした顔で聖が言う。

「そうだな。いきなり地面じゃなくて良かったな」

「俺はここが何処かと聞きたい」

「空だろう?」

「いやいやそうじゃなくて何処の国かって事だ」

「そんなものは後で考えろ。着地するから式を組め」

「衝撃吸収……《空気層》でいいのかなあ?」

「下に《爆裂》を叩き付けるのも良いと思うが?」

「《硬化》を使えばミンチにはならないんじゃね?」

『それは死ぬ』

 また同時に突っ込まれる茂。

「……じゃあ聖ので良いよ」

 少し拗ねたような声になってしまった。

「オーケー。……よし、組んだっと」

 地面に激突する寸前に三人がいきなり減速した。

「ほい、完了。でもさあんた等もすればいいのに」

 着地して聖が言う。

「面倒くさい」

「その式組むのがだるい」

「あ、そですか」

 三人が三人とも服を払い同時に聞いた。

『で、ここ何処?』

 そして目を合わせて

『なぁんだ、誰もわからんのかよ』

 その時左にあった通路から何かが出てきた。

 それは下から上まで黒いタイトな衣装に身を包み、覆面を被った

『……○ョッカー?』

 晶が一人の評価は

「下っ端スーツだな」

 こちらに気付いたらしいショッ○ー(仮)は

「なんだお前達は!?何処から入り込んだ!?」

「『イーッ!』っじゃ無いんだ」

「すんませーん。ここ、何処?」

「悪の組織『ブラックスージー』だ。知られたからには死んでもらう」

「ふーん。シ○ッカーじゃないんだ」

「自分で喋った癖に」

「いや、聞いたじゃねえか」

「またショ○カーか!もう何回目だ!貴様等は殺す!」

「いや、似過ぎてるのが悪いのではないか?」

 そして戦闘が始まった。



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