表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

昭和の時代の中国拳法ブームは結構トンデモなかったと思った話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/08/13

『俺、中国拳法教室にはいったんだぜ。少林拳だぜ!』


『笹木スゲーな』

『いいな~、教えてくれよ』


 1980年代当時、空前の中国拳法ブームだった。ブルースリー、ジャッキーチェンなど、様々な香港映画が上映されていた。


『ララララン、ララララ~』


 香港映画の主題歌のリズムを口ずさむ奴もいた。


『あちょー!』

『棒術だぜ』


『ちょっと、男子、掃除をしなさいよ!』



 私は当時中学生だった。

 祖父が空手道場主で通っていたのだ。


 だから、笹木という奴からまれたよ。


『よお、山崎、空手って不完全だよな。それに比べて中国拳法は空手と合気道が合わさったもので実戦的だぜ』


『へえ、そうなの?』


 私は静観した。

 中国拳法の映画を見たが空手経験者なら分かる事がある。


 これ、相手が中国拳法じゃないと戦いは成立しないのではないか?

 だが、ジャッキーのこの戦闘シーンはマジものだな。

 私はあまり関心もたなかったな。


 また、


『中国拳法か、北斗神拳、どっちを習おうか・・』

 と劇画の漫画に出てくる拳法と比べて本気で悩んでいる奴もいた。



 笹木は。


『俺、大人になったら中国に行って中国拳法を学んでくるぜ!』


 と息巻いていた。

 現代で言うのなら中二病かもしれない。



 ある日、笹木と友人達4人で休日に街まで映画を見に行ったのだ。

 笹木の服装に皆、ビックリした。


『カンフー着かよ』

『スゲー!』

『三節棍?スゲー』


『フフフ、これで何があっても皆を守れるぜ』




 ☆☆☆


 私はここで疑問を呈した。



「あの先生、何故、ご友人はカンフー着と三節棍を?どこから手に入れたのですか?」

「うむ。当時、少年漫画の裏表紙に通信販売で売っていたのだ」

「まさか・・・いろいろ緩い時代ですね」


 ・・・・・・・・・・・



 話を続ける。



 そしてな。笹木は意気揚々と商店街を歩いていたら。


『ウワー、ジャーキーチャンが歩いているぞ!』

『ギャハハハハハハハ!中国拳法だこえー!』

『僕、小林寺のお山から脱走してきたのでちゅか?』


 ヤンキーに目をつけられた。


 笹木は・・・黙っていたよ。それで良い。


「笹木、行こう。相手にすることないよ」

「うん・・・」


「よう、ちょっと中国拳法を教えてくれねえ?」


 だが、前を塞がれ。裏通りに連れて行かれた。


「お前ら何中?」

「第四中です・・」

「ほお、真ちゃんの学校じゃん?なら後で話をつけられるぜ」


 真ちゃんなる人物は知らない。勝手に皮算用を始めている。相手は高校生だ。中学生からみたら大人に見える。

 こちらは4人に、向こうは10人くらいだ。


「ほら、中国拳法君、俺とタイマンを張ろうぜ」

「嫌ならジャンプしろよ」


 ジャンプとは恐喝するときに上下に飛び跳ねさせて、ジャラジャラ金の音がしないか確認する行為だ。


 笹木と皆は縮こまっていた。


 私は手をあげて意見をした。


「あの、すみません。やめてもらっていいですか?」

「はん?お前誰だ、なら、代わりにお前がタイマンをはるのか?あん?」


 すごく顔を近づけられて目をみられた。

 まあ、ガンつけだな。


「一対一なら、ケンカではなく組み手でお願いします」

 私はその時、変な事を言った。興味があったのかもしれない。道場でやっている空手は通用するのか?

 純粋に興味があった。


「はあ?お前、何様だよ!」


 その時、彼らのボスが登場した。


「よお、何かおもしれーことあんの?」

「「「酒井さん!」」」


「ど~れ、どれ?イキッテいるのはカンフー君か?こっちの中坊か?あ・・・あ?山崎・・・君」


「あ、先輩!」


 ボスは空手道場の先輩だった。私よりも遅く入ったが、歳は上なので先輩呼びをしていた。

 もう、ここ最近、こなくなった方だった。緑帯だったかな。



「やめろ。こいつは基地外道場の息子だぜ」


「「「はあーーーー!」」」

「喫茶店で暴れた空手爺!」

「あの道場・・・は別格だ。極真並だぜ・・」

「ヒィ、俺の親父、道場に通っていたぜ」


 孫なんだか。と思ったが指摘しなかった。



「なあ、山崎君、先生には言わないでくれよ」

「それは難しいですね」

「そうだ。アイスおごろう」


「いらないです」



 解放されたよ。


 すると、笹木は。


「お前が強い訳じゃない。父親のおかげじゃないか?」

 こう言った。


 祖父なんだかなと思ったが。


『ああ、その通りだな』


 とだけ言った。



 その後、笹木は虚飾が剥がれたな。中国拳法教室は通信教育だった。当時、雑誌の裏とかにあったな。怪しい通信教育が沢山あった。


『中国拳法って・・・通信教育かよ!』


『きちんと、写真を送って、審査受けているよ。本部道場にも行ったよ!』

『ダセー!』


 祖父に報告しようとしたら。その前に酒井先輩はやってきた。


 酒井先輩は頭を五分刈りにして、通常の学生服で道場に菓子折を持ってやってきたのだ。


『あの、このたびは・・・大変失礼な事をしまして・・』

『うむ。とりあえず正座三時間だな。話を聞こうか?』

『そ、それは・・・』

『なら、稽古していくか?』

『ヒィ』


酒井先輩の話に私も出てきて・・・


『守も正座、一時間じゃ』

『何故?お爺ちゃんも喫茶店で暴れたでしょう?』

『ワシは警察に捕まるのは覚悟の上じゃ。老い先短いからどうなってもええのじゃ。だが、守はこれから長い。この先はケンカの時代ではなくなるのじゃ』

『はい、先生』

『うむ。それで宜しい。ワシも正座するかのう。稽古は師範代がやるのじゃ』


『はい、先生』





 うちの道場は肉体労働者が多かった。

 伝統派であったが、早くから筋トレ器具を揃えていた。


三戦さんちんで鍛えるのとそう変わりないのじゃ』


 筋トレを推奨していた。

 組み手は拳サポをつけていたがライトコンタクトだ。

 胴体、足への攻撃はOK、顔は当てないが結構、当たっていたな。


『これ、上級者が下級者の顔面にあててはならんのじゃ』

『はい、先生!』

『下級者の拳が顔面に当たったら、それは稽古不足じゃ』

『はい』


 まあ、今にして思えば、ヤンキーは中国拳法の虚飾を見抜いていたのだな。

 後に東京で就職したときに中国拳法の研究家から学んだ。


『いいか。これはたいそうな名の拳法だが、チンピラのケンカの型だ。胸元を掴み頭突きを喰らわすだけの技だ』


『この蹴りは、空手の蹴りではなくて、相手を押して、建物や石畳にたたきつけるのが目的だ』


『予備動作が大きいのは乱戦だから意識しなかった。それよりも3日あれば素人でもそこそこのパンチと蹴りを放てる利点がある』


 様々な事を学んだ。

 伝わり方が間違ったのだ。

 空手の海外への普及もそうかもしれない。



「だからな。空手をやっているからと言って自慢したり。決して過信してはいけないぞ」


「「「はい、先生」」」




 ・・・・・・・・・・・・・・・・



 以上が子供の頃、空手の先生から聞いた話だ。

 それから、俺は大人になり就職をした。


 昭和のブームは一極集中だったかもしれない。


 さすがに、令和にカンフー着を来て街中を歩いている奴はいないだろう。

 と思ったが似たような奴がいた。


 駅前で中学の時の同級生にあったのだ。


「よう、山田、久しぶり」

「佐藤?」


 中学の時の同級生でミリタリーマニアだ。

 街中で米軍だかのミリタリーファッションで固めている。

 さすがに電動ガンは・・・手にしているな。


「サバゲ?」


「いや、サバゲ教室、自衛隊に入った後のためにCQCをならいに行くんだ。YouTubeですごい先生をみつけた」


 そもそも自衛隊にCQCはない。CQCとは軍隊の近接戦闘術で打撃あり投げありで流派みたいな物だ。自衛隊なら新格闘とか、部隊の訓練とか、レンジャー過程に散らばっている・・・


 オタク特有のズレた知識か?

 彼は自衛隊の特殊部隊に行けば超人になれると思っている節がある。


 自衛隊落ちて公務員浪人をしているが、体はガリガリだ。その前にご飯を食べて運動して勉強しろよと言ったら、怒り出すのだろうな・・・体格で落とされているのか?


「じゃあ、電車の時間があるから・・」


 電車かよ!と心の中でツッコム俺がいた。


最後までお読み頂き有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あらすじの誤字報告です 笹木君の国が建国されている!! >通信教育の【公国】もあった
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ