コラボ後の変化
ママリスとのコラボは、まさに爆発的な反響を呼んだ。
配信のたびにチャンネル登録者数は跳ね上がり、俺――≪ミナ≫の名は、新人としては異例の速さで界隈に知れ渡っていった。
けれど、その成功と引き換えにするように、ママの様子は日に日にエスカレートしていった。
それは、もはや「親切な先輩」の域を完全に超えていた。
例えば、俺が一人で雑談配信をしている時。
少しでも言葉に詰まったり、声が沈んだりしただけで、即座に彼女から個人の連絡先にメッセージが飛んでくる。
『どうしたの? 辛いことがあった? 誰かに何か言われた? すぐにママに言ってね』
配信のラグすら許さないような、異常なまでの監視。
さらに、他のライバーとの交流に対しても、彼女の牽制は容赦なかった。
同期のVTuberが俺をコラボに誘おうとSNSでリプライを送れば、どこからともなく彼女が現れ、『ミナちゃんは今、私との準備で忙しいの。ごめんね?』と、優しく、けれど断固とした壁を築いてしまう。
「過保護……すぎるよな、これ」
リスナーたちは「ガチの母性」「独占欲強すぎ、てぇてぇ(尊い)」とはやし立てているが、当事者の俺は、得体の知れない寒気を感じ始めていた。
彼女は、俺が配信で一度も話していない「最近の悩み」を、さも当然のように知っていることがある。まるで、俺の生活のすべてをどこかの隙間から覗き見ているかのように。
「……なんで、ここまでしてくれるんだろ。俺、ただの新人なのに……」
スマホの画面に映る、優しく微笑むママリスのアバター。
かつて俺の救いだったその笑顔が、今は自分を絡め取ろうとする「蜘蛛の糸」のように見えて、俺は小さく身震いした。
大好きなはずのママが、怖い。
その直感は、俺が思っているよりもずっと正解に近かった。




