初コラボ決定
初配信から数週間。
俺――ミナの活動は、予想以上の反響を呼んでいた。
配信のたびに増えていく登録者数、温かいリスナーの声。女の子になったことへの戸惑いはまだあったが、新しい自分を受け入れ始めた、そんなある日のこと。
マネージャーから電話がかかってきた。
『お疲れ様です、ミナさん。……折り入って相談なのですが、≪ママリス≫さんとのコラボはいかがですか?』
『……えっ?』
スマホを持ったまま、俺はベッドから跳ね起きた。
心臓が耳元で鳴っている。今、なんて言った? ママ? あの、俺の救いだったママリス様と、コラボ!?
『えっ、えええ!? あの、ママとですか!?』
まだ配信を数回やっただけの、右も左も分からないド新人と、トップ層の彼女がコラボなんて。本来なら、何年もかかってようやく辿り着けるかどうかの高い山のはずだ。
『はい。ママさん本人から「ぜひ、この子と直接お話ししてみたい」と指名がありました。マネジメント側としても、話題性も含めて是非受けていただきたいと思っています』
『指名……ママから、俺を……?』
信じられなかった。あんな雲の上の人が、俺のような吹けば飛ぶような存在を見つけてくれたなんて。
その裏にある、彼女の「歪なほど深い執着」など、今の俺が知る由もなかった。
『わかりました! 是非、是非やらせてください……!』
スマホを胸に抱きしめる。デバイスの熱が、まるでママリスの手のひらのように感じられた。
憧れの人と同じ舞台に立てる。その事実だけで、俺の心は浮き足立ち、幸福感で満たされていく。
こうして、夢にも思っていなかった「聖母」との邂逅が決定した。
それが、優しくも逃げ場のない檻への第一歩だとは気づかずに。




