大学院とキャリア
大学生活で少しずつ自信をつけた紗綾は、さらに自分を高めるためにフェリス・リヴェラ大学大学院に進学した。
専門研究の世界は、学部での学びとは全く異なり、未知の課題と責任感が彼女を待っていた。
春のキャンパスは落ち着いた緑に包まれ、図書館の静寂は心地よい緊張感を与える。紗綾はノートを広げ、論文や実験データを見つめながら、新しい世界への挑戦を胸に刻んだ。
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大学院での挑戦
大学院の講義は専門的で、学問の深さに圧倒される日々が続いた。
教授の前で研究発表を行うたび、紗綾の手は少し震えた。心臓は高鳴り、全身に緊張が走る。
「間違えない…絶対に、間違えない」
努力を重ねる中で、紗綾は学問だけでなく、自分の精神力も試されることを痛感した。
研究室では、同期たちとの切磋琢磨が日常であり、成功も失敗も学びに変わる。
孤独感は完全には消えない。しかし、大学時代に培った根性と音楽での集中力が、紗綾を支えていた。
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社会経験としての秘書業務
大学院での学びと並行して、紗綾は世界的に有名な医師の秘書として働くことになった。
医師は海外からの講演や手術依頼が絶えず、スケジュール管理は極めて過酷だった。
紗綾は一度のミスも許されない状況で、緊張とプレッシャーに押し潰されそうになる。
ある日、学会の準備でミスが発覚し、紗綾は自分を責めた。
「どうして私は完璧にできないんだろう…」
しかし、同期や先輩、教授、そして家族の支えで紗綾は少しずつ立ち直る。
「失敗しても、立ち上がればいい」
この経験は、紗綾に社会人としての強さと柔軟さを教えた。
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初めての挫折
だが、精神的な疲労は予想以上に紗綾を蝕んだ。
研究のプレッシャー、秘書としての責任、大学生活の復習…。すべてが重なり、ある晩、紗綾は涙を止められなかった。
体調も崩れ、夜眠れない日が続く。体重は増え、心は沈み、鏡に映る自分が誰なのか分からなくなる瞬間があった。
ついに、医師から閉鎖病棟への入院を勧められることになる。
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閉鎖病棟での生活
閉鎖病棟は静寂と孤独の世界だった。
紗綾の体重は12キロ増え、鏡に映る姿に嫌悪感を抱く。精神は不安定で、些細なことで泣き、怒り、落ち込む。
病棟での生活は厳しかった。でも少しずつ紗綾は自分を取り戻す方法を学んだ。
読書、日記、音楽…。小さなルーティンが、彼女を支えた。
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自己との対話
入院中、紗綾は自分自身と向き合う時間を持った。
「私は何のために生きているの?」「どうしてこんなに辛いの?」
涙ながらに問いかけ、答えを探す日々。
そして、少しずつ答えが見えてきた。
「私には、音楽がある。支えてくれる家族や友人がいる。たとえ辛くても、前に進む力がある」
閉鎖病棟での時間は、紗綾に自分を見つめ直す力を与えた。
挫折と孤独の中で、希望の光を見つけたのだ。
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退院と再起への決意
数か月後、紗綾は退院を果たす。
体重はまだ戻っていないが、心は少しずつ軽くなっていた。
退院後、紗綾は自宅でヴァイオリンを手に取り、久しぶりに音を奏でる。
「まだ、私はやれる」
未来への第一歩を踏み出す瞬間、紗綾は確信した。
大学院での学び、秘書としての経験、閉鎖病棟での挫折…。すべてが自分を強くし、これからの挑戦に備えてくれたのだ。




