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 諌めが終わったのか、氏子の若衆達は小太鼓と鉦の音とともに神社の鳥居から消えていった。

「終わったようですな。さて、私らもそろそろ…」

 切川が宮居を促しながら腰を上げた。宮居も切川に追随して畳から立ち上がった。

「遅くまでご苦労さまでした。明日の大祭も宜しくお願い致します…」

「卯の刻渡りの四半時前には寄せて頂きますので…」

「分かりました…」

「ご足労ですが、あとの戸締りは宜しくお願い致します…」

 氏子総代らしくシャキッとした声で切川が山高帽を手に宮司装束の岩口に軽くお辞儀した。卯の刻渡りは現在でいう午前五時で、四半時とは三十分を指す。祭礼時は時代用語が頻繁に使われていたのである。

 二人が社務所から去ると辺りはシィーンとした静寂に包まれた。とはいえ、改装前とは違い、電灯の蛍光が白々と明るく照らし、社務所内に薄暗い不気味さはなかった。岩口も重い腰を上げ、灯りを消し、鍵をかけると社務所をあとにした。社務所の鍵は氏子総代と宮司が保管する決まりになっていた。

 自宅に帰るといっても、岩口の自宅は骨太(ほねぶと)神社の境内で、徒歩で数分の距離だったから好都合といえば好都合といえた。

『明日も朝、早いからな…』

 岩口[石]はスッポリと神社[紙]に包まれた身を思いながら玄関戸を開けた。

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