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「最初から上戸町へ帰られるお積りだったんですか?」
祭礼行事に参加した若衆に配るお決まりの袋入り海老煎餅を齧りながら、宮居が訊ね返した。
「はあ、まあ…。孰れは父のあとを継ぐことになるだろう…とは思ってましたが…」
「そうでしたか…」
「父が開いたクリニックを無にするのもどうかと思いましたので…」
岩口は二人の遣り取りを聞きながら、切川クリニックが鋏で骨太神社の神様[紙]をシャキシャキと切った訳ではない…と、思わなくてもいいのに思った。^^ 全てが全て、国の医療行政の責任に思えたからである。
「若衆が減ったのも確かですが、都会へ出ていく方が増えたのも一つの原因ですか…」
それまで聞き手だった岩口が話題を元に戻した。
「確かに…それは言えます」
宮居が話題にしていた話を思い出し、岩口に同調した。
「アルバイトを上手く束ねてリード出来るか、毎年、ハラハラドキドキが続きます…」
「神社には何の関係もない方々ですから…」
岩口が氏子総代である切川の労を労った。




