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呵いが消えると、鉦と太鼓が人の世を諌めるように響くのみである。茶を飲みながら三人が沈黙する中、岩口は考えなくてもいいのに、また考え始めた。^^ 宵宮の神事が余計にそんな気分にさせたのも確かだった。
『いつまで自分はこの神社に包まれ続けるんだろう? 神様は、あなたはもう定年ですよ…とは申されないだろうから…』
そんな考えがグツグツと岩口の脳裏を駆け巡り始めたとき、仮屋番の宮居がボソッ! と口を開いた。
「私が若衆会に入ったのは中学時代でしたが、あの頃の神輿の担ぎ手は若衆だけで十分過ぎるほどでしたが…」
「そうそう、当時はアルバイトなど雇うことなど思いもしない時代でした…」
岩口はふと、我に返り、宮居に同調した。
「社会人になるまではそうだった記憶があります…」
切川が話に加わった。
「総代は、こちらへ来られて、まだ日が浅いですよね…」
「いやまあ、そうなりますか…。遠方の病院から父が亡くなってから戻ってきましたから」
宮居が朧気に訊ねると、切川は否定もせず、朴訥に答えた。




