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「よかったら、お一つどうですか? 嫁が作ってくれたんですが、まだ冷えてないと思いますので…」
岩口は目の前に広げたお握りの包みを宮居に勧めた。
「奥さんの手作りですか? 上手そうですなっ! ははは…それじゃお一つご相伴させて頂きますかな…」
そう言うより早く、宮居はすでにお握りを手にしていた。腹を減らしていたに違いない。^^
そうこうして、二時間ばかり仮屋番の宮居と宮司装束の岩口が話していると、宵宮巡行の鉦と太鼓の音が次第に大きくなってきた。巡行を終え、氏子の若衆とアルバイト達が別宮からUターンしてきたのである。
ここで骨太神社の宵宮巡行を箇条書きにしてみよう。
1.早番の場合
午後七時に骨太神社・本宮から巡行を始め、別宮に到着後、小一時間、鉦と太鼓で諌める[以前にも書いたが、諌めるとは、鉦や太鼓を叩いて境内を清めることを意味する]。その後、本宮へ戻る。
2.遅番の場合
午後八時に骨太神社・本宮から巡行を始め、別宮に到着後、十分ばかり鉦と太鼓で諌める。その後、本宮へ戻る。
と、まあこういう行程を辿るのが常となっていた。




