91/110
-91-
-91-
それからしばらく時が流れた。空はすでに黄昏て、夕闇が辺りを蔽い尽くそうとしていた。
「おっ! そろそろですなっ! では…」
腕を見た紋付羽織、袴姿の切川が社務所の畳からサッ! と立ち上がった。
「お気をつけて…」
宮司姿の岩口が軽く頭を下げ、切川は山高帽を被りながら社務所をあとにした。
宵宮の巡行は、骨太神社を出て上戸町の骨太神社別宮を経由し、また骨太神社の本宮に戻るという往復経路だった。
「では、皆さん、よろしくお願い致しますっ!」
この段階でアルバイトの担ぎ手も合流し、巡行に参加する仕組みに規約が改正されていた。巡行までの間、骨太神社に集合した担ぎ手のアルバイトは、社務所の別室で待機するようになっていた。当然、大祭当日もその手筈で祭礼は始まる訳である。
太鼓の担ぎ棒に付けられた提灯に火がともされ、太鼓と鉦の音とともに粛々と巡行する若衆達やアルバイトの担ぎ手達は鳥居を出ていった。岩口はその姿を見送ったあと、本殿前の幣殿に入ると、祝詞をふたたび唱え始めた。
「ドウノォ(ドウタラァ)~~コウノォ(コウタラァ)~~」
岩口の上げる祝詞は各種、用意されているようだった。なかなか大変なんですねぇ~。^^




