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骨太神社の若衆もコロナの影響で参加者が減少していた。若衆会を束ねる川宮は、今年、四十の坂を越えたばかりだったが、コロナで数年、祭礼が中止となり、その影響で弱つていた。この現象は、明らかに医学[鋏]がシャキシャキと神[紙]を切りまくった影響に他ならない…と宮司の岩口は考えていた。
宮入りした小鉦と小太鼓を担いだ二人の若衆と他の数人は、境内の三俣[三本の木を組み、鉦と太鼓を通した竹棒を乗せて支える道具]に担いできた小鉦と小太鼓の某を乗せたあと、社務所の中へ上がってきた。これが今年の祭礼の始まりとなる最初の若衆会の集りだった。
「皆さん、ご苦労さんです…」
切川が氏子総代としての普段とは違う声を発した。少し威厳めいた声で若衆達に軽く頭を下げる。その間に、一番若い若衆が社務所のキッチンで茶を湯呑みに淹れて集まった若衆へ置いていった。
「ということで、例年通り担ぎ手は足らない員数の確保はアルバイトさんにて埋めさせていただきます」
神輿の担ぎ手は前後併せて最低でも三十人弱はいる。氏子である若衆は十数人だからOBが補助に入って担いだとしても当然、アルバイトが頼りとなるのは必然だった。
「アルバイトさんの募集は去年と同様で集めさせて頂きました。アルバイトさんには説明会を開き、参加者には祭礼用の衣類をお渡しし、社務所にて着替えていただく運びとなっております。神輿渡御の折りは、ご指導を御願致します」
若衆はいわば祭礼のプロである。若衆がアルバイトをリ-ドすることで神輿の巡行は大過なく進行するのである。そこはそれ、その辺りの事情は例年のことだったから若衆達にも十分に理解されていた。
「雨天の場合は?」
一人の若衆が氏子総代である切川にボソッと訊ねた。
「雨天の場合はアルバイトさんは参加されません。そのことは言っております」
「ややこしい場合は?」
つまらんことを訊くヤツだ…という思いで切川は訊ねた若衆をジロッと見た。
「そういった天候の場合は、臨機応変に対処を致します…」
切川はかろうじて逃げ切った。^^




