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 二月初旬に入ると、上戸町役場は俄かに慌ただしさを増した。毎年、行われる春の人事異動による職員間の駆け引きが激しくなるのだ。普段はそれほど仕事に精を出さない職員も、これ見よがしに精を出して働くのである。無論、それは上のランクへの出世を目指して自分をよく見せようとするバフォーマンスなのだが、岩口の場合はそれほどでもなかった。骨太(ほねぶと)神社の社務だけでも大変なのに、異動でまた新しい部署の仕事を覚えなければならないとなれば、労苦が増えるだけだからである。ランクが同じ他の課長連中とは一線を画しているといっても過言ではなかった。

「課長、今年も異動が迫りましたね…」

「ああ、そうですね、砂場君はここは何年目でしたか?」

「今年で二年目ですから、あと一年くらいはこのままでしょうか。よくは分かりませんが…」

 職員の異動が数年に一度、行われるシステムは官公庁の慣例的な公務員常識で、民間企業的に考えれば人事考課面で大きなマイナスとなるのだが、一般常識化しているだけにどぉ~~しようもなかった。 ようやく仕事に慣れた職員を異動させるのかっ!? という話である。^^

「皆さん、ビクビクされながら励んでておられますが…」

「ははは…まあ誰でも出世はしたいですからね。課長はどうです?」

「私はようやく一年過ぎたところですから、ないと思います。本音を言えば、異動しない方が楽なんですが…」

「宮司もされておられますから、大変ですよね」

「ええ、まあ…。他の職員の方に比べればそうなりますか、ははは…」

 岩口は本音を隠さず、砂場に話した。

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