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岩口⇔骨太神社⇔切川という三者間に纏わりつく三竦みの構図が変化を見せたのは、それからしばらくたった二月下旬の小祭りの頃だった。
氏子総代の切川が息を切らせて岩口の家に雪崩れ込んできたのは、岩口が出勤しようと家を出る着替えをしている最中だった。
「どうされたんですっ!」
「どうされたもこうされたも、ありません。砂場さん宅でボヤ騒ぎがありまして…」
切川は息を落ち着かせながらは真相を語り始めた。
「砂場君の宅でっ!? そりゃ、偉いことじゃありませんかっ! で、砂場君は大丈夫だったんですかっ!」
「砂場さんも奥さんも無事だったんですが…」
「そりゃ、よかった…」
岩口は安堵して声を小さくした。
「そちらはよかったんですが…」
「何か問題でも?」
「砂場さんが偉く悩まれてましてね…」
切川は語尾を暈した。




