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岩口家[石]がスッポリと骨太神社に包み込まれるようになった経緯を調べてみよう…と岩口が思わなくてもいいのに思うようになってから、数週間が過ぎ去った。ようやく骨太神社の正月行事も滞りなく済み、岩口としては春の例大祭まで束の間の安らぎが続く平凡な日常生活が戻りつつあった。
深々と冷えるとある夜である。岩口はゆったりとコーヒーを啜りながら、夕食後のテレビを観ていた。テレビ画面には家のルーツを探るバラエティ番組が映し出されていた。
『なるほど、私の祖先は、元大名家の分家筋だったんですね…』
『そういうことになります。分家とは言いましても、知行が一万三千石ですから、やはり一万石以上の大名ということになります…』
大物ゲストにMCのアナウンサーが解説を加える。
『偉かったんだなぁ~。ははは…僕とは偉い違いだっ!』
『そんなことはないでしょう。あなたも十分、ご立派な方ですから…』
『またまたっ! 世辞はやめて下さいよ、ははは…』
大物ゲストは笑って謙遜した。
『いえいえ、そんなことは…』
アナウンサーも懸命にヨイショする。岩口はテレビ画面を観ながら、ふと、自分の家のルーツを知りたい気分になった。




