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 正月の屠蘇をチビリチビリと飲みながら、岩口は考えなくてもいいのに、しみじみと考えた。岩口自身の人には言わない発想である。

『岩口家が神官となったのはいつの頃からだろう…。父は江戸中期の享保の頃だと言っていたが…』

 父の修に幼少から言い聞かされていた岩口家の(いわ)れを、ふと岩口は思い出したのである。

『なんでも、三河から伊勢神宮近くに移り住んだあとらしいが…』

 上戸町に岩口家が移り住んだのは二代前の祖父の代で、そのときには骨太(ほねぶと)神社の神官だったことは幼かった岩口にも微かな記憶が残っており、確かだった。

『三河から伊勢に移り、ここへ来た訳だが…』

 それよりも岩口に気になるのは、神道[紙]に岩口家がスッポリと包み込まれた理由だった。その事実は変えようもなく、今も脈々と岩口家の日々の暮らしに結びついているのだ。

「あなた、今年のお(せち)はいかが?」

 岩口がホロ酔い気分で考えるでもなく巡っていたとき、食器の洗い物を済ませた美登里が声をかけた。

「んっ!? ああ、美味いよ…」

 ()れない岩口のスルーに、美登里は今年のお節はよく出来たと思ったのに…と、意気消沈した。今年のは美味いよっ! くらいの言葉を期待していたのである。残念っ!^^

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