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キッチンでは、すでに悠馬と智花がお雑煮を平らげていた。巫女として社務所で奉仕する美登里が、社務に入る前に作っておいたものである。毎年のことだから子供達も慣れていて、各自が温めて食べるシステムが岩口家では構成されていた。
「ごちそうさまぁ~~!」「ごちそうさまぁ~~!」
岩口と美登里が普段着に着替えてキッチンへ入ってきたとき、二人が異口同音に声を発した。これも岩口家では毎年のことになっているから、取り分けて騒がしくなることはなかった。
「パパ、ママ、おめでとう!」「おめでとう!」
二人がまた異口同音に口を開く。
「おめでとう!」
「ああ、おめでとう さて、食べるとするか…。ああ、そうそう! はい、お年玉…」
岩口が二人にお年玉の入った袋を渡した。
「パパ、ありがとう」「ありがとう」
ふたたび、二人の歓喜の声がキッチンに響いた。




