57/111
-57-
さて、そうこうして、岩口が最後の人形を読み上げ、神事は終幕を迎えた。昨晩から祝詞に精を出す岩口に疲労は、当然ながら蓄積されつつあった。骨太神社の雑務を済ませ、年が改まった午前一時過ぎ、岩口は家の玄関戸を開けた。
「お疲れさまでした…」
美登里はいつものパターンで奥のダイニングから現れ、式台の上で岩口を迎え入れた。
「ああ…」
幾らか疲れ気味の小声で岩口が口を開き、雪駄を脱いで上がり框へ上がった。
「あらっ! 綻びが…。換えますっ!?」
岩口の白足袋が少し綻んでいることに気づいた美登里が小さく言った。
「もう脱ぐんだから、次でいいよ…」
岩口が足元に目を移しながら呟いた。
「分かりました…」
素直に美登里は従い、二人は居間へ向かった。居間にはクローゼットがあり、いつもそこで着替えるのである。




