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上戸町の三十八戸を纏める区長は毎年の改選では落ちつかないということで、大統領選挙のように五年に一度、立候補達の選挙ではない籤引きによって決まっていた。今の区長は鍋岡だった。その鍋岡に氏子総代の切川が、宮司の訪問日を連絡する手筈になっていた。岩口が都合のいい日を選び、切川に伝えたあとである。
切川クリニックの受付である。女性看護師の加水が岩口からの電話に出ていた。
「はあ、そうですか…。先生にはそのように申し伝えます」
『よろしくお願い致します。では…』
その声に反応した切川が診療室から顔を覗かせた。しばらくの間、腰痛で来院した患者は捨て置かれることになった。^^
「なんだって?」
「都合のつく日は二十日の土曜日と二十一日だそうです」
「二十日は昼からなんだろ?」
「それを言わなくちゃ…」
「どうも、すいません…」
「別に謝ることじゃないが…」
診療室の患者は、どうでもいいだろっ!…と、少し切れながら、切川の診療を待っていた。切れたところを見ると、おそらくこの患者は紙的人物に違いない。^^
「お待たせしました。いつもの湿布をお出ししておきます…」
切川は診療室にバタバタと急いで戻り、ドアを開けて言った。
「はあ…」
患者は、それだけかよ…と、また少し切れた。^^




