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『いか…? あのイカ、美味(おい)しかったな…』

 白浜で味わった烏賊の刺身の記憶が悠馬の脳裏を駆け巡った。なんといっても、ワサビ醤油で味わおうとして岩口に叱られた記憶だけに鮮明だった。

『いか? …そうかっ! スイカだ…』

 問題集には解答のヒントとして、絵のイラストが掲載されていた。ようやく一つ解け、悠馬は満足げにニンマリした笑顔になった。

『さて、次はと…。くま? …くま? …分かったぞっ! くるまだ…』

 続いて二問目も解け、悠馬は調子づいてきた。このぺースだと、あと十五分くらいで済みそうだった。智花には三十分後と言ったから、ゆとりが少し出てきた。だが、それは甘かった。その次の問題がなかなか手ごわく、悠馬を手古摺(てこず)らせたのである。

『つぎの ことばに 「ュ」を いれて ただしく かきましょう、か…。なかなか難しいな…』

 かくして、智花と約束した三十分は、瞬く間に過ぎ去ったのである。残念っ!^^

『キウリ・・・この絵は…キュウリだから、キュウリと…』

 ようやく国語の宿題が終わったとき、すでに四十分が過ぎていた。

「お兄ちゃんっ!」

「あっ、ごめんごめん。今いくから…」

 悠馬は、ようやく重い腰を椅子から上げ、リビングへ向かった。


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