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「確かに…」
頷くと岩口は、手にしたポリ製のコップに入ったビールをグビグビッとふた口ほど飲んで話を続けた。
「ところで、お願いしたナニの件は…」
「ナニの件と言われますと…」
「ほれ、ナニですよ」
岩口は、ジェスチャーで神輿を担ぐ仕草をした。
「ああああ! ナニの件でしたか…」
春の例大祭が終わり、神輿を神輿蔵へ担ぎ手の氏子達が入れようとしたとき、蕨手下の瓔珞の鎖が揺れて切れたのだった。
「どうでした…」
「鋼神具店に修理をお願いしておきました。二週間ばかりで修理できるそうです」
「そうでしたか…」
宮司である岩口の心境は、やれやれ、お神輿[神=紙]は合いこ[鋼神具店×切川クリニック]で、お医者に切られなかったか…である。^^ 町役場の心仕事の件もあるから、心配ごとは一つでも減った方がいいに決まっている。
「まあ、そんなことで…」
切川は割箸で美登里が置いた紙製の小皿に乗った料理を軽く摘まむと、モグモグと口にした。




