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 砂場自身が町民のために企画したイベントだけに、その熱の入れようは尋常ではなかった。イベントの会場は、上戸町役場から1Kmばかり離れた町はずれの並木道だった。桜祭りである。雪洞(ぼんぼり)の飾りつけや、蝋燭代わりとして中に入れる照明電球の配線準備と多忙である。桜並木の(かたわ)らには町が出来る前から鎮座されていると伝わる六体地蔵が涼やかな顔で立っていた。どういう訳かお地蔵様には赤い前掛け布・・と決められているようで、誰が世話しているのかは定かではなかったが、真新しい赤布に身を包まれておられた。並木道の両側は田園地帯で、この時期は植えられた麦がすくすくと伸び、その勢いを増していた。

「あっ!! 注連(しめ)君っ! その配線、もう少し後ろへ隠してよっ!!」

 脚立(きゃたつ)に立ちながら雪洞内から配線の固定作業をしている注連へ、図面片手にヘルメット姿の砂場が声をかけた。言うまでもなく、注連は観光物産課の若手職員である。

「分かりましたっ!」

 注連は砂場の指示どおり、配線を雪洞柱の後ろへ隠して固定すると脚立から下りた。

「これで、ほぼ終りですね…課長補佐」

「そうだな…。点燈のタイマーは?」

「だいぶ日没が遅くなりましたから、pm.6:30~pm.11:00に設定しましたが…」

「ああ、それでいいだろう。それじゃ、あとは課長に最終確認してもらうとするか…」

「はいっ!」

 二人は軽トラックに作業用の資材や道具を積み込むと町役場へ戻っていった。

 お地蔵様が、『今年もこんな季節になったか…』というような涼やかな笑顔で(わら)っておられた。

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