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額に薄い汗を滲ませ、新しく役員に加わった門松が、裏方として酒の燗を必死に行っている。見かねた去年まで新入り役員で酒の燗をやっていた竹尾が席を立った。
「ひと休みして下さい門松さん、私が代わります…」
「そうですか? それじゃ、ひと休みさせてもらうか…。どうもすいません」
「いやなに…。私も去年は、やってましたから…」
軽く一礼して門松は自席へ戻り、食べては飲み、飲んでは食べての飲み食いを繰り返し始めた。そのぺースの早いこと早いことっ! それまで食べながら飲んでいた役員達の目が、一斉に門松に注がれた。門松としては、それまでの飲食の損を取り戻そうとした訳である。そんなにぺースを上げなくても…と誰しもが驚きの目で門松を注視 した。そのとき、岩口が場の雰囲気を察したのか、ゆったりと席を立った。
「では、皆さんごゆっくり…。私はあと片づけがありますので…」
岩口が早めに座をはずすのは今までの決まりごとのようになっていた。これといって神事の用向きがある訳ではなかった。
「ご苦労様でした」「ご苦労さまでした」「御苦労様でした」…
直会に居合わせた役員一同から異口同音に労いの言葉が退席する岩口にかけられた。
こうして、三日に及ぶ骨太神社の春季例大祭は、滞りなく閉幕した。




