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骨太神社の例大祭は天候によってその趣を大きく異にする。雨天の場合は榊渡御となり、白装束に黒烏帽子姿の氏子四人が、軽い榊神輿を湿めやかに担いで短時間で幕を閉じる。今年のように晴れれば、賑やかな数十人が行列する神輿渡御となるが、問題は降るか? 降らないか? 分からない、ややこしい天候の場合だった。そんな朝ともなれば、宮司の岩口としては空を眺めながら心乱されることになる。いや、それ以上に心鬱になるのが氏子総代の切川で、クリニックを臨時休業するほど心を悩まされる訳だ。なんといっても氏子総代という立場上、例大祭の全責任が切川の肩にずっしりと重くのしかかっていた。
「ははは…今年も無事に終わり、ほっとしております」
切川が赤ら顔で笑いながら本音を吐露した。
「いや、それは同じですよ、切川さん。ははは…」
岩口も本音を吐いて同調した。
「ご返杯を。いや、ピールでしたか、ははは…」
切川は銚子を置き、取っ手付2リットル・ビール缶を手にした。岩口は置かれたコップを手にして応じた。
「いや、お互いにやれやれですな。ははは…」
「ははは…確かに。今後ともよろしく」
軽く一礼して、岩口は切川が注ぐ2リットル缶のピールをコップに受けた。




