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隣に住む切川クリニックの切川は氏子総代の役割上、時折り、骨太神社の社務所に出入りしている。その切川が神社の虫干しの用向きで、この日も社務所に来ていた。虫干しとは祭礼用に使用される神社の衣類を日に干したり、社内の掃除、整備を行う一年に一度の決められた行事である。役員待遇の氏子数名が総代の切川を中心にして社務に勤めることになっていた。
「鳥尾さん、ご苦労様です…」
「いやいや、私も若衆は早いもので今年一杯ですが、少し寂しいながら務めさせて頂いております…」
朝早くから社務所に来ていた切川に続いて役員トップの鳥尾が顔を覗かせた。若衆は四十才の初老過ぎで現役を去る決めが骨太神社では古い時代から踏襲されていた。
「来年は、お中老ですか…」
「ええまあ…。中老となりましても、若衆の指導や援助は務めさせていただく積もりでおりますが…」
「ははは…これは心強い。そうして戴かないと、総代としては困りますから」
「先生も総代と委員の掛け持ちは大変でしょうな?」
「いやなに、もう慣れましたよ…」
「そうですか…」
医者[鋏]が神社[紙]に慣れるのは、三竦みの関係で早いのである。^^




