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 その特注の調度品は、調度品と呼んでいいか分からない代物(しろもの)で、白大理石壺の貯金壺だった。壺の(ふた)に白豚が刻まれており、その白豚の口から硬貨を入れる・・というユニークな組みになっていた。砂場の父親が大垣で大理石職人として今も働いており、経費は一切かかっていなかった。…と言えばそれは嘘になるが、正直なところ、砂場は僅かな材料費を父親に支払っただけだった。貯金箱といえば、フツゥ~は陶器製なのだが、白大理石壺の特注品は小ぶりながら少し重かった。そんな訳で、一度に二軒回るのが関の山だったから、砂場と妻が一つづつ持って挨拶回りをしていた。まあ、ご近所回りと言っても十軒にも満たなかったのだが…。

 岩口家の入口で『ピンポ~ン~~!』とインターホンを押し、砂場夫妻は玄関前で待った。施錠されていたのである。

『はい、どちら様でしょう?』

「いつも課長にお世話になってる砂場です。引っ越しの挨拶回りで寄せて頂きました」

『ああ、砂場さんですか。今、開けますっ!』

 慌しく美登里は玄関へ急いだ。用心という訳ではないが、番犬も飼っていなかったから普段は施錠していたためである。飼い猫のニャゴ太はいたが、番猫としての効果は薄かった。^^

 美登里のあとに岩口も続いた。美登里が玄関戸の施錠を外し、ガラガラ・・っと戸を開けた。

「どうも、すいません。どうぞ中へ…」

 美登里に勧められ、砂場夫妻は玄関中へ入った。

「やあ、砂場さん。引っ越して来られましたか…」

 相変わらずの敬語言葉で、岩口は部下の砂場に明るく語りかけた。

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