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 岩口は急いで差し出されたその錠剤をペットボトルの水で飲んだ。すると、どうだろう。岩口の腹痛はたちまち消滅したのである。

「痛みが止まりました。どうも…」

 そんなことにお構いなく、巡行の行列は進んでいく。

「す、すみません…。急ぎましょ!」

「終わってから、うちのクリニックへ寄って下さい…」

 切川は岩口を気遣って声をかけた。自分の体調より、祭礼の無事な終了を考えていた岩口だったが、まだ明日の御宴祭が残っているから切川に従うことにした。。代理は立てられないから、ここで病に倒れている場合ではなかった。

 別宮への巡行が無事に終わり、祭列がふたたび骨太(ほねぶと)神社の本宮に帰ってきたのは、午後四時過ぎだった。その頃には岩口の腹具合は嘘のように回復していた。

『何を食べたか、だが…?』

 腹痛を起こしそうなものを口にしたか…と岩口は考えた。

『そういや、アレか…』

 昨晩、小腹が空いたというので宵宮が終わったあと、寝る前にビールの摘み用に冷蔵庫から出して食べた湯掻いた枝豆だった。美登里が湯掻いておいたものを量が多かったから少し残しておいたものだった。岩口の症状は軽度の食あたりだった。

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