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「何ですか? 君が相談ごととは…」
相変わらず砂場に対しての敬語対話は続いていた。書類の数値の羅列が少し理解できるようになったとはいえ、まだまだ砂場の手を借りねばならない事態が想定されたからである。
「実は…課長の近くに引っ越しする予定なんですが…」
「ほう! それはそれは…。私の近くはいい環境ですよ、そりゃもう…。でっ!?」
「はい、課長が骨太神社の宮司をされているということでご相談させて頂こうかと…」
砂場は語尾を暈し、岩口の顔を窺った。
「どういった相談ですか?」
「町の方々はすべて氏子になられているのでしょうか?」
「はあ、ほぼですが…。交番勤務の仏山警部補のお宅は別ですが…。あの方は、離れたご自宅から単身赴任されておられますので…」
「ということは、また他へ異動されることもあるということですか?」
「ええまあ、そうなるんでしょうね。よくは分かりませんが…」
公務員の場合、人事異動が定期的に行われることは、自身も公務員である岩口には当然、理解されていた。




