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「ああ、有難うございます。ここも自在鉤付きの囲炉裏でしたが…」

「私の子若衆の頃はそうでした。天井も吹き抜けで(すす)で黒かったですね…」

「ああ、そうでした、そうでしたっ! 日没後は少し不気味でしたね…」

「はい! それでも、どこか賑やかで、皆さんに勢いがありました…」

「若衆会も五十人は優に超えてましたから…」

「アルバイトさんの必要もなかったです…」

「若衆会のOBの方々が加われば、それで十分でしたから…」

「あの頃の方がよかったですかね?」

「はあまあ、そのような…」

 宮居に返した岩口の心中は、あの頃は鋏[医者]の刃で切れないほど紙[神]がブ厚かったたな…だった。時代の趨勢はある意味、医学を進歩させたが、デメリットとして、必要なく紙をサクサクと切っていたのである。神様もサクサク切られてはかなわない…と、岩口はそう考えたのだった。

 時折り、小太鼓と小鉦の音が響いてきた。開帳神酒(かいちょうみき)で気分を高めた若衆会の面々が、骨太(ほねぶと)神社に向けて近づいてくる音色だった。

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