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 地方の田舎町、上戸(かみど)町で暮らす岩口久司は、どこにでもいるようなお堅い性格の通勤サラリーマンである。岩口がお堅いのには一つの理由があり、勤めがお堅いお役所という点が加味されていた。今年で八才になる小学一年生の長男、悠馬(ゆうま)は真逆の柔らかい性格で、岩口をして、本当に俺の息子か? と、妻の美登里をチラ見させるほどで、性格が全く似ていなかった。ただ、容貌は似ていなくもないか…と岩口を思わせたから、まあ、俺の子だろう…と深く考えないことにしていた。悠馬の妹の智花(ともか)は今年、幼稚園へ通い始めたオマセな三才児だ。

「トモちゃんのハンバーグ、お兄ちゃんが取ったぁ~! ワァ~~ン!!」

 キッチンで賑やかな岩口家の朝が始まろうとしていた。

「代わりに卵焼きをやったろっ!」

「ひと切れじゃ嫌っ!」

「分かった分かった、じゃあもうひと切れ。これで、いいだろっ!?」

「行ってくるっ!!」

 二国の紛争に分け入るかのように岩口は読んでいた新聞をテーブルへ置くと、勢いよく椅子を立った。

「気をつけてねっ!」

 美登里が食器の洗い物をしながら岩口を見送る。智花の鳴き声は少し弱まり、二国の紛争は岩口の仲介で解決する運びとなった。^^

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