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4. 森の泉

 こちらに来て初めての食事が終わると、ふうと一息ついた。

 そして食事を終えた今、絶対的に必要なものに気がつく。

 お茶やコーヒーとは言わないが、せめて食後に水が飲みたい。

 

「生きるのに最初に必要なのは水だよな」

 

 当たり前の事だが、口に出してみる。

 サバイバルで水さえあれば食べなくてもしばらく生きられると聞いたことがある気がする。

 想定外の出来事に舞い上がっていたから、大事な部分を見落としていたようだ。

 

「川か、泉か……なんか飲めそうな感じの水場がある場所をさがそう」

 

 そう言って、鍬を肩にかけて森へ散策に出かけた。


 しばらく歩きながら地形を見ていると、一カ所土がしっとりしている場所があった。草の色も濃い気がする。

 

「ここ、ちょっと湿ってる……」

 

 手で土を掘ってみると、じんわりと冷たい感触が指先に広がる。

 

「この近くに水源があるのかも……」


 気になった場所を少し奥へ進んだ先で、湧き水のある小さな泉を発見した。

 

「……あった!やっぱこれも《森の恵み》って恩恵のお陰なのかな」

 

 手ですくってみると、冷たくて透き通っている。特に臭いもしない。そのままでも飲めそうな気がする。

 念のため火で湧かしてみることにした。落ち葉と石を使った簡易の囲いで、小鍋の代わりに堅そうな木の実の殻を器にして。


 湯気のたった水を飲みながら、祠の前に腰を下ろす。天然の湧き水だからか、少し甘みもあって美味しく感じる。煮沸しているから大丈夫だと思うが、ゆくゆくは濾過装置を作って生水でも飲めるようにしたい。

 

「とりあえず、水と火と食いもんはなんとかなりそうだな……」


 当面の生活基盤は確保できそうで安心する。ここからはテレビでみたような余裕をもったスローライフに向けて、もっと効率よく、暮らしを整える必要がある。

 

「……なにか育てるか?畑……とか」

 

 もちろん、これまで家庭菜園もしたことはない。保育園時代に近所のおうちでサツマイモ収穫体験をしに行ったくらいしか経験がない。

 畑にするのに良さそうな陽当たりのいい草地も拡がっている。まぁ、恩恵もあるしなんとかなるかと俺は呑気に考えていた。

 

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