冤罪
久方翔での学校の評価は一変した。
やっていない罪を擦り付けらた翔の評価は正義感溢れ優しいという噂が流れ始めていた。
ところが、そんな噂は翔にとってはどうでもよかった。もとより冤罪というくくりにするつもりはなかったのだ。
だが、ここで一つ疑問が浮かぶ。
翔にとって冤罪とは何なのか。翔は窃盗犯という冤罪をかけられた。そのせいで学校内では居場所を失い、地位い名誉も失ったのだ。
けど、それは冤罪であった。
問題は解決したのだ。した……といっても良いのだろうか。
翔にとって正義感、優しさなど一ミリも持ってはいない。それなのに翔の評価は上がり続けている。
冤罪とはやってもいない罪をやっていることにされることである。罪がないのに疑われたり罰を受けたりすることを冤罪と言う。
翔にとって、優しさは罪でしかなく正義感も同様に罪である。つまり、翔にとって優しい、正義感という評価は冤罪である。
冤罪の定義が罪に対する意識だとするのなら、翔の行動は罪になるのだろうか。
翔からしてみれば、優しい自分など罪でしかない。正義感が強い自分は罪でしかない。それなのに、翔の評価はどんどん上がっていく。
優しい翔。正義感の強い翔。
言ってしまえば、翔にとってこの現状は冤罪である。
ありもしない疑いをかけられていると言っても過言ではないだろうか。
翔は帰宅した後、ベットの上でスマホを眺める。
沢山来ていた通知を無視し、ある人のチャットランを開く。
(翔)「なぁ、どうしてお前はB組になったんだ?」
(陽菜)「お? そっちから連絡が来るとか珍しいね! もしかして好きになった?」
(翔)「違う。てか、なんでB組になったんだ?」
(陽菜)「うーん。翔ならB組に行くと思ったから」
(翔)「俺のことどんだけ好きなんだよ……」
(陽菜)「そりゃあー。宇宙で一番かな!」
(翔)「はいはい」
(陽菜)「あ、そう言えばさ! 翔の評価めっちゃ変わってるね!」
コイツはどれだけ俺に関するニュースを持っているんだ?
(翔)「ああ、そうみたいだな」
(陽菜)「良かったじゃん! 冤罪が証明されてさ!」
(翔)「別に……」
(陽菜)「私は、翔のことを知っているから分かるよ! 今この状況が冤罪って言いたんでしょ? ありもしない話は翔にとって”罪である」
(陽菜)「だから、今の状況は翔にとって冤罪でしかない。冤罪って言うのは罪に対することを定義していると思うけど、罪という観点から見たらね」
コイツは俺の脳の中を見透かしているのか?
実際そうであった。
”罪”という概念が存在するのなら、罪という概念を排除するのなら。
翔にとって、優しいと言われている自分が罪であったのだ。
プライドからくるものではない。性格から来るものでもない。
ただ、それが罪だと思ってしまうのだ。
(翔)「ああ、全部会ってるよ」
(陽菜)「ほんと? やったー! 翔のことは全部知っているからね」
(翔)「はいはい。ああ、でも一つ残念だな」
(陽菜)「??」
(翔)「Bクラス全員をCクラスに落すから」
すると、言っていることが理解できなかったのか、陽菜から電話が掛かってくる。
翔は横になったまま、電話を出る。
「どうかしたか?」
「ちょっと、どいうこと? Bクラスの全員をCクラスに落すの?」
「ああ。Bクラスの連中をCクラスに落すよ。絶対に」
「なんでよ?」
「それは気まぐれだな」
「気まぐれ? Aクラスに一番近いんだよ?」
「それだよ。Aクラスに一番近い存在だから駄目なんだよ」
「はぁ?」
「圧倒的逆転がないと3年間がつまらなくなる」
そうつまらなくなるのだ。
「あんた……ほんと好きになるよ!!!」
電話越しでも伝わってしまう陽菜の愛を無視し、翔は無言のまま電話を切る。
そして、始まってしまう。いや、必然であったのだろう。
翔の行動でBクラスは崩壊の道を歩むことになってしまう。
新章開幕です。
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あ、新章では翔の行動はいかれているので予めご了承ください




