1月29日 (日) 岡田家母方祖父母来襲……
今日も日曜日なので、朝から晩まで京子さんの家にいる。
特に出かける予定はないので、土曜に出た宿題ともうすぐ始まる中間試験の勉強を軽くしていた。
独り身だった頃は一夜漬けで済ませてたのになぁ。
一応若干成績は上がった。
宿題も終わり、軽く試験範囲の不明点を確認して終了した。
その後は録画していたテレビ番組を観ていた。
お笑い芸人が都市伝説を紹介する3ヶ月毎に流しているスペシャル番組。
怖かったり笑ったりと、多少怖がりの京子さんでも観れる番組のはず。
意外に京子さんは笑って観ていた。
そんなお昼前、誰かお客さんが来たみたい。
誰が来たんだろう?
「誰かくる予定があったの?」
「聞いてないよ。家に居れないお客さんなら、どこかに出かけるようって正直くんに言ってるし」
「そうだよね。直接大輔さんも言ってくるだろうし」
「だよね」
とりあえず京子さんとくっついて、テレビの録画を観ていた。
特にこちらに関係ないだろうとゆっくりとしていた。
バァァン
突然、京子さんの部屋のドアが開いた。
僕達はビクッとなり、開いたドアの方を見た。
「京子、おばあちゃんが来たよ。おっ?誰、この男」
「京子ちゃん、元気にしてたかい?おや?彼氏くんかい?」
突然入ってきた人達は祖父母なんだろうな。この間のとこが大輔さんの実家だったから優子さんの方なんだろう。
「おじいちゃんおばあちゃん、いらっしゃい。
うん、彼氏の正直くんだよ」
「はじめまして。服部 正直です」
立ち上がって挨拶したが、おじいさんの方はうんうんと納得してくれたようだけど、おばあさんの方はわなわなと震えていて納得してなさそうだ。
「京子、彼氏とかってどういうことだい。まだ高校生だろ」
「おばあちゃん、今どき中学生でも彼氏彼女がいるよ?」
「他所のことは知らないよ。京子にはまだ早いよ」
おばあさんにとってはまだ小さい子供なのかな、京子さんは。
可愛がられてるんだね。
そこうしてると、後ろから優子さんと大輔さんが慌てて入って来た。
「お母さん、正直くんはもう家族同然なんだから」
「そうだよ、おばあちゃん。クリスマスや大晦日の後冬休み中ずっと家に居たんだから」
「なんだいそれは。ずっと泊まってたのかい?」
「うん、お父さんの方のおじいちゃんおばあちゃんの家にも一緒に行ったよ」
「何ぃ、向こうの岡田さん達は何も言わなかったのかい?」
「何も言われてないよ。私達の事も認めてくれたし」
「くぅぅ」
相当嫌われてるな。まぁ京子さんが大事にされている証拠なんだけど。
さて、どうしたものか。
「京子さん、随分大事にされてるんだね」
「ちょっと過保護気味だけどね」
「京子、なんてこと言うんだい!」
「本当の事じゃない、おばあちゃん」
孫が京子さんだけだったりとか?
うちは直も真琴もいるから、すごく可愛がられたことはないんだよね。
みんな一律で、僕だけ割と雑だった気はするけど。その分叔父さんがいろいろと仕込んでくれたんだよな。
「でも、可愛がってくれてるんだからいいんじゃない?
うちなんか僕の扱いは雑だし」
「えー、みんな大事に思ってたよ、正直くんには言ってないみたいだけど」
「京子、その男の家族とも付き合いがあるのかい」
「夏に正直くんのおじいさんおばあさんのところに泊まりに行ったよ」
「何ぃ、同じ部屋で寝てたのかい?」
「あの時は正直くんの妹さんと従姉妹と同じ部屋だよ」
あの頃はまだ別々の部屋で布団も別だったんだよな。
ここで最近は一緒の布団で寝てるなんて言わないよね。
「そうかい、それならいいが……いや、良くない。
お互いの親族に紹介してるってことは、結婚するつもりなのかい?」
「うん、そのつもりだよ。ね、正直くん」
「そうだね。将来的に一緒になるつもりでいます」
「そうよ、お母さん。正直くんはうちの子になるんですよ」
「そうです。息子になるんですよ」
「随分気に入ってるんだね、優子達は」
婿入りするのかは分からないけど、随分かってくれてるのは嬉しい限りだな。京子さんを幸せにしないとね。
その後はリビングで話すことになり、いろいろおじいさんに聞かれた。
おじいさんの方は好意的で、うんうんと頷きながら僕の話を聞いていた。
しかし、おばあさんは一人取り残されるような状況になってしまった。
未だに「認めん認めん」とつぶやいていた。
京子さんはずっと「正直くんはいい彼氏だよ」って説明していた。
僕としてはいずれ認めてくれればいいと思うし。
そろそろお昼という時間になったので「昼食をどうしようか」となった。
夕飯の食材も併せて買ってこようと思っていたのだけど、おばあさんの来襲で時間がなくなってしまった。
すると、おばあさんがレジ袋に入った駅弁を出してきた。
「お昼にと思って駅弁を買ってきてたのよ。これを食べましょう。
まあ、そこのあなたの分はないけどね」
ですよね。
突然知らない人間が増えてるんだから仕方がない。
多めに買って来てるなんて事は普通ないし。
「おばあちゃん、嫁いびりみたいなこと言わないでよ」
「仕方がないよ。僕が居るなんて知らないんだし。
優子さん、冷蔵庫の食材を使っていいですか?」
「いいわよ。ごめんなさいね」
冷凍庫にご飯があったはず。前に買って来て放り込んでおいた鮭のハラスもあった。
あと、ネギと椎茸、卵もあったので炒飯を作ろう。
ご飯とハラスは解凍しておく。
「京子さん、炒飯なんでネギと椎茸はいつも通りに切っておいて」
「了解」
ネギは輪切り、椎茸は小さ目にさいの目に切ってくれる。
解凍したハラスは小さく切って、フライパンでじっくり弱火で焼く。カリカリにして油をしっかり出す。
「正直くん、鮭のいい匂いがするね」
「この油に鮭の風味がいっぱい出てるからね」
油が十分出たら卵を割り入れ炒め、その後ネギと椎茸も入れ炒める。
塩コショウで下味を付けた後、解凍したご飯を投入。
切るように炒め軽く押さえて水分を飛ばす、を繰り返してパラパラになるように炒める。
塩コショウで味をつけ、鍋肌に醤油やめんつゆを流し入れ香りをだし、さらに炒め味を全体に行き渡らせる。
これで鮭のハラスの炒飯の完成。鮭のいい匂いが食欲をそそる。
皿に盛ってテーブルに持っていく。多く作ってるから取り分け用の小皿も出す。
「「「「「いただきます」」」」」
みんなは駅弁で、僕は炒飯を食べ始める。
京子さんが「炒飯ちょうだい。あーーん」というので、炒飯を京子さんの口に持っていき食べさせてあげた。
すると京子さんがお返しと、駅弁のお肉を僕の口に持ってきて「あーーん」としてきたので食べた。
「正直くん、僕ももらっていいかい」
「多く作ってるので、どうぞ」
「私ももらうわね」
「どうぞどうぞ」
この様子を見ていたおじいさんも、僕に断って炒飯を口にした。
「美味しいね。ハラスがカリカリで食感がいいし、鮭の味がすごくする」
満足してくれたようだ。
その後も京子さんが炒飯を要求してくるので「あーーん」をしながら食べていた。
おばあさんも駅弁を食べていたけど、炒飯に興味があるのかチラチラ見ているのが分かった。
「炒飯、食べますか?取り分けますよ」
「仕方がないねぇ。食べてあげるよ」
炒飯を取り分け差し出すと、しばらく眺め口にして目を大きく見開いていた。
美味しかったらしい。
「おばあちゃん、美味しいでしょ。正直くんの料理はすごいんだから」
「うちでよく作ってくれるけど美味しいのよ、お母さん」
おばあさんは無言で炒飯を食べ終え、そっぽを向いてしまった。
まあ、仕方がないよね。
そのまま食事を済ませ、お茶を飲みながら京子さん達とおじいさんおばあさんが話しているのを見ていた。
大事にしてる孫を取られたのが気に入らなかったんだろうけど、京子さん達とは笑っていろいろ話をしていた。僕の事になると厳しい顔になってたけど。
すると、おじいさんが僕の横に来て言った。
「うちの家内のことは許してくれると嬉しい」
「大事なお孫さんに悪い虫が付いてれば、あんな風になりますよ。仕方ないです。
ほんとは大輔さんにそうされててもおかしくなかったんですから」
「僕はそんな事しないよ」
「でも娘を持つ男親はそういうことをするもんじゃないんですか?」
「確かに。私は大輔くんにそんな態度を取った事があったと思うよ」
こちらは男同士で話し込んでいた。学校での京子さんの話とか僕の話とか、おじいさんの気になる話を。
そろそろ夕飯の買い出しに行かないといけない時間になったが、今日は外に食べに行こうとなったので、そのまま話が続いた。
夕食後、もう帰るということでおじいさんおばあさんを駅まで見送りに。
最後におばあさんから一言いただいた。
「服部だったかしら?まだ京子との仲を認めたわけではないからね。
京子を泣かしたり手を出したりしたら承知しないよ!」
「キスならもうしたよ。ね、正直くん。それに……」
「京子さん、面倒なことになるから、今それは言わないほうが……」
「何ぃ、もう手を出してるのかい?服部、認めないからね」
「服部くん、僕は認めてるから京子のことをよろしくね。
さあ、帰ろう」
「待って、まだ言うことが……」
おじいさんに連れられて暴れながら帰るおばあさんを見送り帰る。
普通の日曜になると思ってたのに、こんなことになるとはね。
珍しく認めてくれない人がいたな。まあ、普通の対応だと思うけどね。
「京子さんってずいぶん可愛がられてましたけど、お孫さんは京子さんだけなんですか?」
「そうでもないよ。女の子が京子だけなんだ」
「それでですか。他の男の孫は割と雑な扱いとか?」
「京子と比べると雑かな」
「うちと一緒か。ただ、うちは男が一人のはずなんだけど」
どこも男は雑に扱われるんだな。他の従兄弟に会ってみたいかな。
それから岡田家に帰るが、途中大輔さんに気になることがあると聞かれた。
「京子が気になる所で言うのを止めたんだけど、あれは?」
「ああ、それはですね。
渡辺さんのアドバイスを受け入れて……ちょっと考えてますのでまだ確定ではないです」
「ちゃんと考えてくれているなら任せるよ」
「京子さんと相談して決めます」
京子さんのおばあさんの気持ちも分かるので、きちんとしないとと思う。
でも、京子さんの気持ちも考えないととは思うので、今後よく相談していい方にしたい。
はぁ、京子さんのおじいさんおばあさんが突然来るとか、勘弁して欲しかった。緊張してる暇もなかったけど。
こんな感じだと今後ちょくちょく来そうだね。
後日……
「京子、また来たよ」
「おばあちゃん、また来たの?」
「嫌なのかい?」
「正直くんとの時間を邪魔されるから嫌。
それに正直くんの料理に嫁いびりみたいに文句ばっかり言ってるし」
あの後、2、3日おきに京子さんの家におばあさんが来てる。
平日にも来ているため、放課後家に行っても待ち受けていて、京子さんとゆっくりするどころか、宿題や試験勉強をするにも困る始末。
夕飯も食べていくんだけど、僕が作っている時はいろいろと文句を言って帰っていく。
流石に京子さんもおじいさんも我慢の限界に来たようで、京子さんのとこに行くことをしばらく禁じられ、おばあさんはしょげていた。
とりあえず買っておいた手土産を渡したけど、いい顔はしてもらえなかった。
でも、それがいつか変わるかと思うとちょっとゾクゾクしてきた。
2025/09/03
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