1月24日 (火) マラソン大会は疲れる……
今年も来てしまったマラソン大会の日。面倒なんだよなぁ。
男は10kmも走らなければならない。女子は5kmだけど。
体育の授業もマラソンの練習で走るだけだし、練習で走る学校の回りはアップダウンが激しく、よく聞く「心臓破りの坂」も真っ青な坂を登らされる。
聞いたところでは練習のコースは、昔は女子校横を走っていたらしい、おじさんの頃は。今は共学になっているので、男からすればつまらなくなったそうな。
これを授業のたびに走り、坂を登って疲れ果てるためマラソンは特に不人気だ。
とうとうマラソン大会の日になってしまった。
午前だけで終わるのでそれはいいけど、次の日とか筋肉痛になるのが嫌だ。
本番のコースは河口付近にある陸上競技場から河口堰の橋を渡り、反対側の河川敷に降りてランニングコースを走って、折返し地点で戻って来る形になっている。
アップダウンがほぼないので、練習よりはまだましだ。
陸上競技場で集合なので、朝宮崎と向かっていた。
「宮崎、マラソン終わったら吉村さんと帰るんか?」
「ああ、その予定だ。デートして帰るんだけどジャージなんだよなぁ」
「そりゃ仕方ないな。そういえば、吉村さんがお前のイベント企画能力鍛えてくれって言われたけど」
「何それ?」
「俺が流星群を京子さんに見せてる話を聞いたら、宮崎にそういった事を計画させたいってよ」
「そっか」
「サプライズ的なイベント考えて、どっか連れて行ったりしたらどうよ?
イベントはネットで調べればいろいろあるやろ。相談にものるし。
流星群は定期的にあるけど、ここいら市街地は明るいから観えにくいけどな」
「分かった。どうにかしてみる」
話しているうちに競技場近くまで来ていた。
もうすぐかと思うと気が滅入る。宮崎が吉村さんを楽しませられるか、それも心配で気が滅入るが。
競技場に着いて中に入り、京子さんや山田達を探す。
京子さんを見つけたので、宮崎と別れてそっちに移動する。
「おはよ、京子さん」
「おはよう、正直くん。マラソンは大丈夫?」
「補習にならない程度には走るよ。大丈夫大丈夫。
後、これまたレモンの蜂蜜漬け、女子の分。昼ご飯も作ってるから帰りにどこかで食べよう」
「これは頑張らないとね!」
野郎ども用はクラスで集まった時でいいだろう。
京子さんと話していると、山田達や吉村さん達も来た。
しばらく話してたら集合となり、先生の開会の挨拶が終わった。
女子の1年、2年、男子の1年、2年の順で走り始める。
2年男子はまだ結構先なんで、男子に声かけてレモンの蜂蜜漬けをみんなで食べて時間を潰してた。
2年女子が走り始めるんで、京子さんの応援に行く。
京子さんが見えるとこに陣取り、京子さんを応援した。
「京子さぁん、頑張れ!」
京子さんが手を挙げて応えてくれた。
そしたら回りから一瞬殺気を感じた。えっ?何?
京子さんの回りからも殺気だったり羨望の眼差しだったりがあった。
その直後2年女子はスタートした。
クラスの所に戻るとレモンの蜂蜜漬けがほぼなくなっていた。
さらに「嫁さんの応援か」「このリア充め」とか言われた。
まぁ、みんな笑ってるから好意的に取っておこう。
それからしばらくして1年男子が走り始めた。
もう少しで2年の番だ。スタートラインに並び始める。
別に先頭集団にいたいわけではないので、適当な位置に並ぶ。
山田達や宮崎も同じようなとこに並んでた。
「用意、スタート!」
前の方の集団が走っていって、前の空間が空いた頃にようやく僕は走り始めた。
横には宮崎と山田がいた。河口堰の橋を渡り始める頃も一緒だった。
「補習受けたくねぇからそれなりにちゃんと走るからな。宮崎、山田」
「俺もそのつもりでいる。去年一緒に受けたからな」
「服部、宮崎、補習なんかあんの?」
「1時間切らないと補習だ。どっかの土曜に走らされる」
「マジか」
というわけで3人はそれなりに真面目に走った。
1年女子の先頭は橋の途中ですれ違った。ランニングコースを走り始める頃には2年女子の先頭とすれ違うかと思う。
そうすればその後ちょっとすれば吉村さんとすれ違うだろう。
宮崎はどういう反応するのだろうか。
予想通りランニングコースに入ってからしばらくすると、吉村さんが見えてきた。
宮崎にも教えたが、すれ違うタイミングでも何もしなかった。
あーーあ、競技場に戻ったら宮崎はどやされるだろうな。
さらに走ってると京子さんが見えてきた。軽く手を振るとそれに応えて振り返してくれた。
すれ違う時に「頑張って」とお互いに声をかけ、タッチした。
途端に周囲に殺気を感じた。折り返して来ていた女子の方からも。
何?彼女とちょっとした挨拶じゃんか。
「あっ!」
「何だ?宮崎?」
「吉村さんとしなかった」
「今頃いうか?絶対怒ってるぞ。戻ったら覚悟しろよ」
「えっ?」
「確かに、吉村さん、怒ってそうな顔してた」
「マジか」
こいつ、吉村さんに気付かなかったのか?そんな事ないよな?
何の反応もしてなかったから、無視したと思ってるぞ。
蹴られると思うけど、自業自得だな。
その後も自分のペースで走り続け、折返し地点を越え2/3を走り終えた。
とりあえず補習は回避できるタイムでゴール出来そうだ。
ただ、宮崎も山田もそれに合わせてたけど、少しずつ遅れていった。
「もう補習にはならんと思うけど、俺はこのペースで行くからな。
お前らも自分のペースで走れ」
「分かった。早くゴールしても怖いからな。服部より遅れて行くよ」
「俺も少しペースを落として行くわ」
ペースは変えず競技場まで辿り着くと、フェンスのところから京子さんが応援してくれた。
「正直くぅん、頑張って。あと少しだよ」
流石に声を出して応えられなかったから、手を挙げて応えた。
もう少しでゴール。少しペースを上げて走りゴールした。
「はぁー、はぁー、はぁー、はぁー」
「正直くん、お疲れ様。はい、スポーツドリンク」
「ありがと。生き返る」
「補習はなしで済みそうだね」
「うん、そうなるように無理のないペースで走ったから」
これ以上速く走りたくはない。帰る時も辛くなるし。
この後、京子さんと出かけるのにボロボロになってたらダメだし。
「そうだ。吉村さん、怒ってない?」
「怒ってないけど機嫌は悪いかな。何かあったの?」
「宮崎が吉村さんとすれ違う時に何もしなかったから」
「ああー、それは機嫌が悪くなりそう」
「京子さんとすれ違った時に、宮崎はやっと何もしなかった事に気付いたんだよね」
「ははは」
そんな話をしていると、宮崎と山田が帰ってきた。
宮崎はそのまま吉村さんのとこに直行したけど、案の定尻に蹴りを食らい説教されてた。
山田は回りを見回していたけど、なんかあったのか?
「そういえば渡辺さんは?」
「風邪で休みだそうですよ、服部くん」
「それで山田は渡辺さん探して見回してんのか?」
「どうなんでしょうね?」
「「ふふふ」」
後で山田に渡辺さんが風邪で休んでる事を、メールしておこう。
全員帰ってきてマラソン大会は終了となった。
もう競技場を出て帰った人達もいるけど、僕と京子さんはゆっくりしてから帰る。
お昼は準備しているので、近くの公園の東屋に行って食事をすることにした。
「またサンドウイッチだけど。具がちょっと違うんだ」
「やったー。違う具って?」
今回もサンドウイッチを作って来た。具はいつものポテサラ、それ以外はタマゴ、焼きそばにしてみた。
タマゴはスクランブルエッグではなく、本当に出汁巻き卵。出汁の量を減らして硬めにして、通常のより薄く焼いてます。味付けは少し甘めで。
焼きそばは焼きそばパンのサンドウイッチ版。鉄板麺で具は小さくカットして入れてます。
後、暖かい紅茶も保温水筒に入れてきた。
紙コップにレモンの蜂蜜漬けのタッパに残った蜂蜜を入れてから、紅茶を注ぐとレモンティーの出来上がり。
「焼きそばサンドはいい感じにできたかな。味が濃いめだけど」
「タマゴサンドは、スクランブルエッグみたいに半熟感がないけど、卵焼きそのままも美味しいよ。
レモンの蜂蜜漬けの余るシロップを使ったレモンティー。レモンそのものじゃないけど蜂蜜とで酸味がまろやかになってていいかも」
「お気に召して頂けて何よりです」
平日の昼間だし、冬なので気温が低いからあまり人がいないので、2人くっついてゆっくり食事をして帰った。
それでも家にはいつもより早く帰り着き、一度身体を温めるため着替えた後リビングで優子さんも交えてお茶をした。
マラソン大会の順位とか宮崎と吉村さんの話をして、まったりとした時間を過ごした。
ただ身体が温まり、疲れていた上にまったりしていたので、僕と京子さんは身体を寄せ合って眠ってしまった……
ようやく目を覚ましたら、もう外は暗くなっていた。
「やべ、もう夕方になってる。買い物行ってない」
「大丈夫よ。こっちで買い物に行ってきたから。ご飯の準備もできてるわよ」
「すみません」
「疲れてたんでしょ、いいのよ。京子なんかまだ起きないし」
「ふぇ?」
京子さんがようやく起きたようだ。まだ、完全に覚醒はしてないけど。
京子さんもよっぽど疲れてたんだろうな。
先に買い物に行っておけばよかった。
一人の時ならもうファストフードで済ませるんだけどね。
やっぱりマラソン大会は疲れる。
誤字訂正
130行目:「怒ってないけ機嫌は悪いかな。何かあったの?」
→ 「怒ってないけど機嫌は悪いかな。何かあったの?」
2025/09/03
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