1月6日 (金) 観光に行こう……1
結局、お泊りは冬休みいっぱいに延長され、京子さんと同じ布団で寝て、京子さんの家から朝のバイトに行くことになった。
宿題はもう済ませているので、9日までゆっくりお世話になる。食事も全部面倒みてくれるとか。
申し訳ないです。
5日は久々にショッピングモールに行って、新春セールのお店がいっぱいの中店内を見て回った。
また無駄遣いしないよう、京子さんが腕に絡みついてロックされていた。
特に何か買うつもりで来たわけでもないので、回りから見ればカップルがイチャついているように見えるだけだけど。
とりあえず消耗品の靴下や靴、パジャマ代わりのスウェットを買った。これは必需品なので止められなかった。
お昼にフードコートで食べることにして、何にするか一緒に見て回る。
今日はパスタの気分で、ボンゴレビアンコに。京子さんはカルボナーラにしてた。
席を探してると見たことのある奴が居た、大戸が。しかも、向いに女子もいた。
京子さんに話すと、ニヒヒと笑った。僕もニヒヒと笑ってたけど。
そこまで移動して……
「相席いいですか?」
「他に席が空いてますよ。??」
大戸がようやく気付いた。
「「ニヒヒ」」
「わあ?何でここに?」
「たまたま?ちょうど見つけたから、寄ってみただけ」
京子さんは女子の方に声をかけ、「良かったね」って言ってた。
「この間の子じゃないですか。付き合う事になったんですか?」
「妙に丁寧だな。からかってるのか?」
「うん。そりゃもう」
大戸が区切りを付けたようだった。そっちの子と末永く仲良くしてるといいな。
こちらもこれ以上からかう……もとい、邪魔するのも悪いんで別の席に移動しようとしたら止められ、一緒に食事をする事になった。
間が持たなかったらしい。
お互いの食事が終わるまで、年末年始の話をしていた。大戸はアイススケートの時から付き合い始め、初詣は一緒に行くことになったのでこちらを断ったそうだ。
今日も初詣以降初めてのデートで、彼女の買い物に付き合っているんだって。
食後邪魔するのも悪いんで、そこで別れる。大戸には手ぐらい繋いでやれよ、と煽っておいた。
僕達はいつも通り手を繋いで、他の店も覗いて帰った。
その後も、いつものルーティンであるスーパーへ買い出しに行く。
年末と違いゆっくりと買い物をし、レジのおばさんに年始の挨拶をしていく。
家に帰り着き、買い出しの食材を優子さんに渡し、京子さんとリビングでお茶をしながら話をしていた。
「大戸くんがあの子と付き合い始めてたなんてね、良かったね」
「初詣キャンセルしてきたから、そうなんじゃないかとは思ってたけどね」
「そうなの?でも、スケートの時に相談されてたから、うまくくっつかないかなぁと」
「それ、聞こえてたから大戸に、いつまでも引きずってないで新しい相手見つけろ、って言っておいたんだよね」
「そうなんだ。ありがとね」
「いや……(いつまでも京子さんを追いかけられても困るからね)」
「??」
大戸の話はそこまでにして、明日の観光の話をして夕飯の時間まで過ごした。
さて、今日は京子さんを独占して構い倒す観光の日になった。
ここのところのあの一式を装備し、プレゼントでもらったデイバッグを肩にかけ準備完了。
リビングで京子さんを待つ。
降りてきた京子さんを見て、またドキッっとしたというか、声が出なくなった。
「可愛いというか綺麗というか……素敵だね」
「そう?うれしい」
自分の好みの足のラインがよく分かるパンツで、上はゆったりとしたセーター、その上に水色のルーズなロングコート。
プレゼントしたマフラーと手袋ををしていた。コートの色といいバランスで映えていると思う。
「じゃあ、行こうか。京子さん、お手をどうぞ」
「はい」
「いってきます」と優子さんに挨拶して、駅前まで手を繋いででゆっくり歩いて行った。
今日はいつもより早く出かけている。電車でとはいえちょっと遠出するから。
社会人の冬休みも終わり、まだ通勤時間帯なので少し人が多い。ただ僕達が乗る電車は反対方向なんであまり関係はないけど。
乗り込んでから席に座り、くっついて話をすることにした。
ボックス席なんで、よほど席が埋まらないと前の席に座るということもないから、べったりくっついていても問題ないだろう。
「昨日、大戸くんの話をしてた時に何か言いづらいことがあったみたいだけど?」
「ああ、あれね?」
「何かあるの?」
「大戸が覚悟を決めたのであれば、問題ないよ。でも、他の人にはちょっと言えない事が……ね」
「私にも言えない事?」
「……」
言ってしまえば、今後大戸がまた独りになった時に近付けなくなる可能性があるからなぁ。
それはそれで僕的にはいいけど、友達の悲しむ所は見たくはない。鬼じゃないから。
どっちがいいのかな?
「仕方がないな、聞きたい?」
「うん」
「あのね、実は大戸が好きなのは京子さんだったんだよ。
僕達が付き合い始めた少し後くらいに、付き合ってるのが本当か聞いてきたから分かったんだけどね。
まぁ、その時、小学校の時の友達だってのも分かったんだけど」
とうとう言ってしまった。
大戸が諦めると言ってたけど諦めきれなかったから。
僕と友達だってのも、京子さんのそばに近付けたから諦められなかった一因になったのかもな。
「そうなんだ。
でも、付き合ってるのが分かってても、一緒に遊んだりしてたよね。正直くんとも普通に話したりしてたし」
「まだ諦めてなかったんだ。フットサルの時は別にして、昔は仲良かったから普通に誘ったら来たし。
一応吉村さん達の誰かとくっつくかなぁ、っていうのもあって誘ってたんだけど」
「なんというか……大戸くんもちょっとかわいそうかも」
「まぁ、すっぱり諦めてくれてればね。後、昔の友だちじゃあなければ、また違ったんだと思うよ。
京子さん、出来れば大戸への態度は変えないであげてね」
京子さんへの気持ちが変わらなかっただけ好きだったんだろうけど、そばで僕達がイチャついてたんだから悪かったとは思う。
でも、止められないけど。
何にしてもあの子と大戸がそのまま仲良くしてくれるといいな。
大戸の話も済みまだ時間があるので、京子さんに食べさせるため持っていたお菓子を出した。
「あーーん」
「あーーん」
僕が京子さんの口に放り込んだ。美味しそうな顔をしてるなぁ。可愛い。
回りにはまだ人がほとんどいなかったので、恥ずかしくならなかった。
それでしばらく、ひな鳥にエサを与えるように京子さんの口にお菓子を放り込み続けた。
流石に何度もしてると恥ずかしくなったみたい。
今度は京子さんが僕に「あーーん」としてきたので、「あーーん」するとお菓子を放り込みだした。
僕は5回でギブアップした。見られてはいなくても電車の中で、いつ見られるかと思うと恥ずかしくなった。
「もう終わり?」
「ごめんなさい。家でお願いします」
「仕方ないなぁ。帰ったらね」
なんだかんだ話したりイチャついたりしながら電車に揺られ、目的地に着いた。
駅の南側に出たけど、予定通りではあるがちょっと早かった。
美観地区の美術館やお店がまだ開店していないので、しばらくコーヒースタンドでお茶をして待つ。
「ちょっと早かったなぁ。少し電車が遅れる位すると思ってたのに」
「電車はそんなに遅れないんじゃない?」
「年明けだし、遅れれば電車の中でくっついていられるかなと思ったんだけどね」
「もう」
しばらく話をしていたけど、冬休みももうすぐ終わるという話をすると顔が曇った。
大晦日からずっと泊まってたから、しかも一緒に寝てたから、寂しいのかな。どのみち大体は京子さんの家に放課後とか居るんだけどね。
頭を撫でて落ち着かせる。
「流石に家をずっと空けておくわけにはいかないから」
「分かってますぅ。それなら、正直くんの家にずっと泊まってようかな」
「社会的に問題になりそうだけどね。嬉しいけど」
「むぅ」
うちに何日も泊まってくれるのは嬉しいけど、我慢出来なくなり歯止めが効かなくなりそうで怖い。
でもいつかは……
### 続く ###
2025/09/02
現在次世代の話を連載中です。興味がある方はご覧いただければ幸いです。
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