12月28日 (水) アイススケートに行ったら……
冬休みも京子さんの家に朝から入り浸る。そして、一応宿題と2日間のバイトをこなす。
宿題はそれ程量はないから、すぐ終わりそう。
バイトも夏休みの時と同じで2時間かからないくらいで終わる。
その後はお昼も夕飯もお世話になり、二人っきりでゆっくりしたり、京子さんのお母さんとお茶しながら話したりしていた。
そんな感じで冬休みがスタートした。
今日28日はアイススケートに行くことになっていた。
先日のクリスマス同様京子さんに選んでもらった一式とプレゼントでもらったデイバックで、京子さんの家に来た。
「おはようございます」
「おはよう、正直くん。今日はバックもセットだね」
「うん、似合う?」
「うんうん、超似合う。選んだ甲斐があったって感じ」
「ありがと。褒められ過ぎでちょっと恥ずかしいけど」
スケートに行く前に、宿題のノルマを終わらせる。
スケート靴はレンタルだから、特別余計な荷物はない。
転んだ時用に替えのジーンズと下着は持って来ている。その辺は京子さんも準備して行くことになってる。
今日は流石に弁当は準備していない。温かいものが食べたいのでどこかに入って食べる予定だ。
「それじゃあ行こうか」
「行こう行こう」
駅に行って電車に乗り隣の駅まで行った。
駅のすぐ近くに遊園地があり、夏はプールなのだが、冬はアイススケートリンクにしている。
小学時代は何度となくスケートを滑りに来ていた。
中学時代はご無沙汰してたけど、まだ体が覚えてるはず。
「シューズを借りて入るよ」
「うん」
プールの利用と同じに男女別のロッカールームに入った。
ベンチに座ってスケート靴に履き替え、コインロッカーに余計な荷物を預けスケートリンクの方へ向かう。
京子さんが出てくるのを待ってたら、フラフラしながら出てきた。
「大丈夫?」
「シューズの刃2つで立つのが慣れなくって」
「慣れるまでゆっくり行こうか。脚は肩幅くらいに開いた方が安定すると思うよ」
「ん」
なんとかスケートリンクにたどり着き、京子さんは一旦ベンチに座った。
京子さんにはちょっと待っててもらって、僕も久しぶりなんで何処まで滑れるか一度滑ってくることにした。
京子さんを確認しながら、リンクを1周してきた。後ろにも滑れるかも確認した。意外にまだ滑れる。
京子さんの所に戻って、今度は京子さんとリンクに降りる。
「京子さん、先ずはまっすぐ立とうか。腰が曲がったような状態で立ってると、重心が安定しないから。
はい、僕の手に捕まって」
「はい」
「余計な力を抜いて……そうそう」
「少し安定してきたかも」
「うん、体がぷるぷるしなくなってきたね」
まっすぐ立てば重心が体の中心から脚の間にくるから安定しやすくなるし、余計な力が入ると重心があちこちにブレるから不安定になりやすいよね。
次は足先の開く角度。かかとを合わせる感じで扇型に120度。
「じゃあ次はかかとは動かさず、足先を120度の角度で開いてみて。
こんな感じ」
「こんな感じ?」
「そうそう。
スケートはまっすぐ滑る感じじゃなくて、右斜め前に滑って、次は左斜め前に滑る、を繰り返すから、足の角度はそんな感じで開いてる状態ね」
足先を開いて安定して立てるようになったら、滑り出そう。
ゆっくり手を引くように僕が後ろに滑る。
「右、左と順番にゆっくり滑ってみて」
「はい……おっととっと」
「支えてるから、ゆっくり少しずつでいいよ」
「うん。でも、正直くん、後ろにも滑れるんだね」
「一応ね。それ程上手くは滑れないけど少しだけ」
京子さんの滑るスピードに合わせて、ゆっくり後ろに滑る。実際、そんなに速く滑れないから丁度いい。
少しずつ安定して滑り始めた。
でも、まだ手を繋いだままにしたいので、そのまま滑る。
そのかわり、僕が後ろにもう少し速く滑れるようにならないといけないけど。
「くっ」
「正直くん、大丈夫?多分、もう手を離しても大丈夫だと思うよ」
「もうちょっと両手を繋いでいたいから頑張る」
「ぷっ、ははは。じゃあもうちょっとゆっくり滑るよ」
ということで、もう少し京子さんに教えている感じで両手を繋いで滑ることにした。
もう大分滑れるようになったんだから片手を繋いで滑ればいいだろって言われそうだけど、京子さんの顔も真正面から見れる特等席なんだからな。
満足したので今度は普通に手を繋いで横を滑る。
ゆっくり、ゆっくり、二人で滑った。
まだ曲がるのはもたついてるけど、何度か滑ることで滑らかに滑れるようになった。
速く滑るわけじゃないからクロスも必要ないし、内側に身体を傾けて体重移動くらいで大きく曲がるには十分だろう。
一度休憩を取る。
身体も冷えてくるし、リンクから上がって、温かい飲み物と軽い食べ物を買ってベンチに座って休憩する。
「大分滑れるようになったね。僕が滑れるようになった時より早いよ」
「正直くんが教えるのが上手かったからだよ」
「そんなことないよ。理解して実行出来るかは別だし」
「でも滑れるようになって嬉しいよ?」
その後は他愛の無い事、大晦日からの事を話しながらスケートリンクの方を見ていると、見知った顔があった。
「ん?なんか見たことある奴がいるんだけど……」
「どこ?大戸くんじゃない?他にもうちのクラスの男子と女子が居るみたい」
「あっ!ほんとだ。グループで来てるのか」
「声かける?」
「気付かれるまで放っておこう。大戸も女子と一緒に滑ってるみたいだから」
「こっちの方に回って来たけど、気付くかな?」
「どうだろ?ニヒヒ」
「悪い顔になってる」
そうかな?面白がってるだけだよ。
僕は大戸の幸せも願ってるし。
そうこうしてると、大戸達が僕達の目の前を通る。
それをじーーっと見てる僕達に気付いたようだ。僕達は大戸に手を振る。
丁度そばの女子が転びそうになって、大戸の腕に抱きついたところだった。
大戸は顔を真っ赤にして、こちらに言い訳をするような顔を向けていた。
腕に抱きついた女子も大戸の様子から何かを察したようで、周りを見回して僕達に気が付いて手を振ってきた。
僕達も手を振り返した。ニヒヒという笑いを顔に貼り付けて。
「面白いものを見たね。大戸が女子に腕に抱きつかれてた」
「面白いとか言っちゃあだめだよ」
「とか言って、京子さんも悪い顔になってたよ」
「ほんと?おかしいなぁ」
「ははは」
そのまま大戸達は滑ってるのかと思ったら、リンクから上がってこっちに向かって来た。
一緒に滑っていた女子も一緒だった。
「よお、大戸、お楽しみでしたね」
「服部、何言ってんだよ。普通に滑ってただけだろ」
「ふーーん、腕にしっかり抱きつかれてたけど」
「転びそうになったからだろうが」
少々からかってみたが、京子さんの前だから慌てて言い訳している。別に君の彼女じゃないんだよ?
京子さんの方は一緒に来た女子と話をしていた。
「大戸くんとデート?」
「みんなで来てるの。岡田さんの方はデートだよね?」
「うん。滑ったことがないから、教えてもらってたの」
「ああ、相変わらず仲いいね。羨ましい」
「へへへ。それなら大戸くんと付き合っちゃえば?フリーのはずだよ」
「本人がその気がないみたいだからねぇ、アプローチしてみてるんだけど」
「そうなんだ。頑張ってね」
「ありがと。そっちも仲良くね」
京子さんが小声でしゃべってるのが聞こえた。
大戸には聞こえてはいないようなので、同じ事を大戸にも言ってみた。
「大戸、あの子といい雰囲気だったけど、付き合わねぇの?まだフリーだろ?」
「えっ?おい、岡田さんの前でそんな事言うんじゃねぇよ」
後半僕にしか聞こえない大きさの声で話している。
うーーん、そろそろ諦めてくれないものだろうか。
こちらも大戸にしか聞こえない声で言う。
「この前も言ったけどそろそろ諦めないの?」
「まだ、あきらめない」
「あんまり意固地になってると、人生損するよ?
一度他の子と付き合って、それでも諦められなければ仕方ないかもしれないけどさ」
「ううっ、心が揺れるんだけど」
「付き合っちゃえよ」
そろそろ諦めてくれそうかな。もう一押しか。
京子さんの方にこっそりと、そちらのクラスの女子にもっとアプローチしてもらうように伝えてもらった。
喜んでいるようで、頑張って体を張ってアプローチしてもらおう。
「京子さん、また滑ろうか」
「うん、滑ろう」
二人手を繋いでリンクに戻る。大戸達も一緒に。
大戸の方もまた腕にクラスの女子が絡みついてた。
そっちは放っておいて、京子さんに集中しよう
こちらは二人だけの世界に入り込んで滑る、周りが気にならないくらい。
あまり冷えないうちに2度目の休憩を取る頃には、クラスの大戸達以外にも見つかり、一緒に休憩することとなった。
ただ、京子さんは女子達に連れていかれ、僕は男共と話をすることとなった。
服部Side
男5人でまとまってコソコソと話すことになった。
そんなにコソコソすることないだろうに。
「服部、クリスマスは岡田さんと過ごしたんだろ?どうだった?」
「へ?京子さんと京子さんの両親と楽しく過ごしたけど?」
「「「彼女の両親と?」」」
「ああ、こいつもうお互いの両親公認だから。岡田さんの家に入り浸ってるよ」
「すげぇな。イチャイチャし放題じゃん」
「そんなにイチャイチャしてないけどね」
彼女の家でそんなにイチャイチャ出来るわけ無いだろ。
ほどほどだよ。まぁ、いくらでもイチャイチャしてても京子さんの両親は怒ったりしないで、むしろ喜ぶくらいだけどな。
「で、彼女の家で何してたの?」
「クリスマスの料理作ってた。シチューとか3品ほど」
「こいつの作る飯は美味いよ。この間もフットサルやった時に作ってきたサンドウィッチは上手かった。試験勉強会の時も昼飯作ってるらしい」
「彼女とイチャつかずに飯作ってるのかよ」
「京子さんと一緒に作ってるから」
「かあーー、もう夫婦だろ、それじゃあ」
「将来的にはそうなると思うよ」
「すげぇな、別の意味で。もう経験済みなのかと思ったけどよ」
「「うんうん」」
別に経験してたからすげぇとか偉いとかじゃないと思うけどね。
そんなんじゃナンパ野郎のチャラ男だろ?
人間的のどうなんだ?そんなの。
「経験とかいうけど、相手のことをちゃんと考えてやれんの?
ただやりたいだけで、相手のことも考えずやっちゃいました。妊娠したかもみたいなことになったら、泣くのは女の子の方だからな?
するんなら、ちゃんとしてからにしろよ」
「「「うっ、経験者じゃないのに、言葉に重みが……」」」
「まぁ、頑張れ」
岡田さんSide
クラスの子に連れて行かれちゃった。
正直くんは男子の方でコソコソと話し込んでるみたい。
でも、何を話してるんだろう?
「岡田さん、クリスマスはどうだった?」
「へ?どうだったって?」
「またまた、服部くんと二人っきりのクリスマスだったんでしょ?」
「違うよ、うちの両親も一緒だったよ」
「「「「なんで?」」」」
「なんでって?正直くんと決めたんだよ。
二人っきりのクリスマスって案もあったけど、うちのお父さんが寂しがるかもって話したら、じゃあうちでって」
正直くんはうちの両親のことも考えてくれてるからね。
二人っきりじゃあなかったのは残念だけど、うちの両親も一緒だったのはそれはそれで嬉しかったよ。
「二人っきりの場合はどこでするつもりだったの?」
「プラン的には、どこかでちょっとしたコース料理を食べるとか、正直くんの家でのどちらかだったんだけどね」
「服部くんの家だと両親がいるんじゃ?」
「正直くん、今一人暮らし中だから」
「「「「もったいない」」」」
「もったいないって……?」
「そりゃあ·····ねぇ」「男と女が二人っきりならねぇ」「あんな事したりとか?」「男の子はやりたがったりしない?」
「正直くんは何も考えず勢いでしたりすることはないよ。ちゃんと考えてくれてるよ。
でも、うちも正直くんの両親も子供が出来ても大丈夫、とは言ってるけどね」
「「「「!!!」」」」
高校生で子供はちょっと困るよね。
子供は別としても、そういう事にみんな興味はあるんだね。
でも、するならちゃんとした人とね。
お互い話が終わったみたいなので、京子さんと合流してそろそろ帰ろうか?
「京子さん、まだ滑る?」
「そろそろいいかな。滑れるようにはなったし」
「風邪ひかないうちに帰ろうか」
「うん」
クラスのみんなに挨拶して帰る。
大戸は相変わらず腕に同じ女の子を絡みつかせて滑ってた。
悪い気はしてないんだろう、このまま付き合っちゃえよ。
来た道を逆に、電車に乗って帰る。
京子さんが家に電話をして、買い出しの品をメールしてもらい、帰りがけにスーパーに寄って帰った。
いつものレジのおばさんに
「今日はいつもとちょっと違うのね。デートしてきたの?」
「ええ、アイススケートに行ってきたんです」
「いいわね。二人とも滑れるの?」
「今日教えてもらって滑れるようになりました」
「いい旦那さんね。大事にしてもらいなさいよ」
他のお客さんからも注目され、京子さんが真っ赤になってた。
僕もそうだけど。
手早く買ったものを袋に入れ、足早にスーパーを出るが皆生暖かい目で僕らのことを微笑ましく見ていた。
「「ただいま」」
「おかえりなさい。寒かったでしょ、風邪をひかないうちに中で温まりなさい」
スーパーで買った食材を渡し、リビングでお茶をしながら話をした。
スケートリンクでクラスの子達に会った事やスケートが出来るようになった事を京子さんが嬉しそうに話した。
ずっと二人だけってわけにもいかなかったけど、京子さんが喜んでいるようで良かった。
今日は京子さんのお母さんの手料理を頂き、ゆっくりして帰る。
もうすぐ大晦日。
今年は京子さんと一緒に年を越せる。
来年も再来年もこの先ずっと一緒だといいな。
2025/09/02
現在次世代の話を連載中です。興味がある方はご覧いただければ幸いです。
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